【ツーバイシェル】
玄関から最上階に繋がる階段。原則、外壁面に開口は設けず、中央の円筒を囲む外郭との間をガラス天井として採光する
◾️商業地域の喧騒から切り離された異界としての住処
都心の商業地域に建つ専用住宅です。
近隣は深夜営業の飲食店や事務所ビルが密集する地域で、外界の喧騒と臭いが気になる敷地条件に対し、高い断熱性と気密性、断熱性を有するツーバイフォー工法の木造耐火建築を採用しました。
形態は喧騒が気になる外界から、住処という異界に入り込む動線を強調した円形平面とし、上部をわずかに傾けることでシェル構造としての安定を図りました。
内壁は全体を左官による漆喰仕上げとして、外界と切り離れた洞窟のような空間を造り、調湿・蓄熱効果も高めました。
【2017年 ジェレミ・ステラ著「東京の家」青幻社 掲載】
円筒形の外観見上げ。両隣とも1階が飲食店なので特に夜間の喧騒を避けることを意識した。曲面壁の隙間に入ると、異界と感じられるような環境ストレスを感じさせない住処を目指した
都心の商業地域において、喧騒や臭いに閉じた外観。防火地域における木造耐火建築が認可された初期の建築。日本ツーバイフォー建築協会の第3回坪井記念研究助成に選出され、ツーバイフォー工法での形態設計手法について研究した
夫婦+幼稚園児3人の世帯だったことを意識して、門扉と外階段手すりは、“楽しさ”と“安全性”を両立させることを考えて設計した。外装は、RC基壇がモルタル洗い出し、円筒部分はガルバリウム鋼板平葺
基壇部分は、半分埋めて地階扱いとし、外階段を上がった玄関部分は法規上1階。玄関ドアは、市販のスチールドアを購入し、鍛冶屋さんに様々な金属を溶接あるいはリベット留めしてもらった
ダイニングの内観。ダイニングは玄関と同階。写真正面の黒い壁は、漆喰磨き、内装の黄色い壁は土の割れ壁仕上げとなっている
最上階のリビングの内観−1。ミニキッチンが付いている。円形平面の半分が、1段上がった畳スペースとなって、その上にロフトがある
最上階リビングの内観−2。室内採光は、併設するサンルームと階段およびリビング内のガラス天井から取り込む
最上階リビングの内観−3。畳スペースより板の間を見る。写真左にサンルーム、壁に造り付けられた黒い棚はテレビ台となっている。また、板の間と畳スペースの段差部分には、奥行きの深い引き出しが3列引き込まれている
リビングに併設するサンルームの内観。崖下にある敷地なので、崖上からの視線への配慮と、破損時の安全対策として、ガラスの下にポリカーボネイトの曇り板を重ねた
地階子供部屋の内観。地階といっても半地下なので、壁面採光も取れて明るい。子供3人に対して円形平面を3つの扇型に分けた。幼児だったので、個室化せず各人に1セットずつ可動式のクローゼットを用意した。階段横の部屋はご主人の書斎
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