フルサット

●設計事例の所在地: 
新潟県上越市
●面積(坪): 
169
●建物の種類(大分類): 
商業施設
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

JR上越妙高駅前に建てられたコンテナを活用した複合施設です。
2015年の北陸新幹線開業にあわせて、まずコンテナ1本を事務所として設置しました。その後、段階的に開発を進め、現在の形へと発展してきました。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

2015年、北陸新幹線の開業を迎えても、上越妙高駅前には広々とした更地が広がっていました。
新しい街が生まれつつあるなかで、そこにはまだ「人々の居場所」が存在していませんでした。
そんな状況を打開しようと奔走する依頼者の思いに応え、初期投資を抑えつつ、必要に応じて移設も可能な「コンテナを使った施設」を提案しました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

春日山駅前にある「謙信交流館」の設計実績が評価され、人が集まる駅前施設の設計を依頼されました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

◇「フルサット」という挑戦 ー コンテナ建築がつくる、新しい駅前の風景

2015年、北陸新幹線が開業しても、上越妙高駅前には広大な更地が広がっていました。
新しい街ができつつある一方で、人々が自然に集まり、過ごせる「居場所」がまだ存在していなかったのです。

そんな中、私たちは春日山駅前の「謙信交流館」の設計実績を評価され、人が集う駅前空間の設計を依頼されました。
依頼主の「街に居場所を」という熱意に応えるべく、初期投資を抑え、必要に応じて移設可能なコンテナを使った施設を提案。まず1本のコンテナを事務所として設置するところから、プロジェクトは静かに始まりました。

◇なぜ「コンテナ」だったのか

「コンテナ」という言葉は、多くの方々に興味を持っていただくきっかけとなると同時に、ご心配の声もありました。
しかし私たちは、以前からコンテナ建築の持つ「移設可能性」や「シンボル性」に、言葉にできない魅力と可能性を感じていました。

木造や鉄筋コンクリート造、鉄骨造といった建築物が19世紀から存在している一方で、コンテナ建築に代表される〈ユニット工法・プレファブ工法・可動性〉は、20世紀中頃に登場した新しい概念です。
これまでの建築が解けなかった問題を、この新しいアプローチが解決する可能性があると信じていました。

◇フルサットが目指したもの ー 商業施設ではなく「小さな町」

私たちが目指したのは、ひとつの大きな商業施設ではありませんでした。
それはまるで、吉祥寺の「ハモニカ横丁」や新宿の「思い出横丁」のように、小さな店舗が自然と連なり、独自の魅力が醸成されていく「小さな町」。

誰かがすべてをつくり上げるのではなく、町の成長とともに少しずつ形づくられていく場所。
その理念に最もふさわしかったのが「コンテナ」建築だったのです。

◇地域性・場所性をどう取り戻すか

20世紀の建築は、地域性や場所性を無視したグローバルな価値観の中で進化してきました。その結果、私たちは「どこにでもある町」を手に入れた代わりに、「ここにしかない町」を失いかけていたのかもしれません。

高田駅では「歴史的意匠の引用」、高田小町では「古建築の保存活用」が行われてきました。
その流れを受けて、私たちは「コンテナ」という20世紀を象徴する工業製品をあえて使い、新しい町に地域性と場所性を取り戻すという逆説的な挑戦に踏み出しました。

◇雁木文化からの継承

さらに、フルサットは上越の伝統である「雁木」文化を現代に引き継ぐ場でもあります。

ひとつは、私有地を公に開くという考え方。
コンテナとコンテナの間の空間や外部スペースを店舗同士で共有し、外からも気軽にアクセスできる構造にすることで、町に開かれた空間を実現しました。

もうひとつは、雪とともに暮らす空間の創出です。
かつての雁木町が雪を避けていたのに対し、フルサットではあえて雪と共にあることを選びました。かまくらや雪のトンネルといった「雪と親しむ空間」は、21世紀的な新しい雪国の可能性を感じさせます。

このようにして、フルサットはコンテナという素材を通じて、上越妙高という新しい町に「人の居場所」をつくり出しました。
それは単なる商業施設ではなく、人と地域、過去と未来をつなぐ、小さな都市の試みでもあるのです。

依頼者の声: 

このプロジェクトは、コンテナ1本の事務所から始まりました。
当時、依頼者はまだ起業したばかり。
資金面でも先行きの見えない中、共に悩み、模索し、時に立ち止まりながらも、少しずつ一歩ずつ前へと進んできました。

建物の数が増えるたびに、そこに集まる人の顔が増えていく。
その変化を、現場で一緒に体感できたことは、何よりの喜びであり、私たちにとっても大きな財産となりました。

今では、依頼者から「苦しいときに寄り添ってくれた」と感謝の言葉をいただき、あの頃の選択と試行錯誤が、しっかりと町のかたちになっていったことを実感しています。

その他の画像: 

フルサット雁木通り ― 木造の屋根とコンテナが融合する、新しい町のかたち
フルサット雁木通りは、伝統的な木造の屋根(雁木)と、現代的なコンテナ建築が融合した、これまでにない街並みを創出しています。
かつて雪国の暮らしを支えた雁木の精神を、21世紀的な素材と手法で再解釈し、町に新たなにぎわいと「居場所」を生み出しました。

フルサット雁木通り ― 木造の屋根とコンテナが融合する、新しい町のかたち
フルサット雁木通りは、伝統的な木造の屋根(雁木)と、現代的なコンテナ建築が融合した、これまでにない街並みを創出しています。
かつて雪国の暮らしを支えた雁木の精神を、21世紀的な素材と手法で再解釈し、町に新たなにぎわいと「居場所」を生み出しました。

旬鮮直送 越後 尊美(たかみ)
お客様に「また来るね」といってもらえることがなにより嬉しい
店主と女将がいつも笑顔で迎えてくれる「ご当地」の居酒屋さん

食堂酒場 酉かつ

フルサットカフェ

洋食桜花軒

設計者

ユーザー ナカノデザイン一級建築士事務所 中野一敏 の写真
オフライン
Last seen: 3時間 40分 前
登録日: 2025-04-21 11:52

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