木のパオの家

●設計事例の所在地: 
東京都調布市
●面積(坪): 
95㎡(28.7坪)
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

南西側道路の台形状の敷地に周辺では珍しくなった瓦葺の切妻屋根の家です。
道路に平行なカースペースを設け、向かって右奥の引き込まれた部分がアプローチ・玄関です。
限られた前庭に目隠しとなる植栽を施し、西日を防ぎます。
2階の窓には、バルコニー手すりに掛けてカバーする外付けブラインドにより
日差しを防ぎ、通風を確保します。ちょっとレトロなデザインです。
屋根には、見えませんが、太陽光パネルを瓦葺きと調整して載せています。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

岐阜の自然に囲まれて育ったご主人が、ログハウスを建てたいと思っていました。
いろいろ検討していく中で、東京の街並みに急にログハウスの景観ではどうかと
思い悩んでいました。
また、敷地の形が台形状に変形しているため、うまく間取りが作れるかどうかと
言うことも悩みの種でした。
さらに、敷地が真南に向いておらず、45度以上触れていることから
家の向きと間取りの難しさを感じていました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

外観は普通の家でも、内部はログハウスのように、床、壁、屋根を厚い板=あぜくら板で包み
木のパオのような家の造り方ができると言う提案に共感をして頂きました。
また、近隣の家が道路から見て右側の、南東向きに建っていることが多いのに比べて
南西向きでも西日の影響を小さくし、プライバシーを確保しながら、道路から見たときの
家のシルエットがきれいに見える設計が可能なことにご理解いただきました。
変形した敷地の一部をサービスヤードやバスコートなどで有効利用できることも喜んでいただきました。
それらの内容を確認いただいてから、設計契約をさせていただきました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

正倉院のような校倉工法をイメージしながら、朽ち果てても自然に還る木の家の造り方を
新・あぜくらの家と呼んで、5棟設計監理してきました。
それらの成果を生かして、南西向きの変形敷地でも、プランニングに柔軟に対応して
成立させることができました。
南西道路に向けた配置でも、植栽、格子雨戸、外付けロールスクリーン、高断熱性能
Low-Eガラス木製サッシなど細かな工夫を施すことで、夏場の日射遮蔽と
プライバシー確保が可能となりました。

依頼者の声: 

想定どおり木に包まれて暮らすことがとても心地よいことを感じて生活しています。
断熱性が高く、木に包まれたコンパクトな家のせいか、ペレットストーブで家全体が温まります。
西日は思ったより暑くなく、気になりません。
1階のひろまの格子雨戸はほとんど閉めたままで生活していますが、中からは外が良く見えますが
外からは中がまったく見えませんので、安心して暮らせます。

その他の画像: 

玄関を入ると東向きの窓から特に朝日がきれいに入ります。
あけると、ちょうど隣家の裏側で家が無いので、よく風が通り抜けます。
土間は日本の昔の三和土(たたき)にも使われた間砂土で素朴に仕上げています。

ひろまに入ると、家の中心にあって、2階までの磨き丸太の通し柱が出迎えてくれます。
子供さんが良く抱きつく、安心感のある柱です。
将来のご両親のための和室コーナーとは仕切りはありませんが、建具をつけられます。

2階の梁を天井に現わしています。斜線制限で高さを抑えざるを得ませんでしたので
天井を張らずに、2階の床下地のあぜくら板を梁と共に魅せています。
その上には吸音材や遮音材を張って、2階の音をなるべく抑えています。
その梁組みを利用して、建築化照明を造り込んでいます。
右端にペレットストーブが設置されています。

和室コーナーの照明はちょっと趣向を変えて提灯照明にしました。
ダイニングテーブルは故郷のケヤキの無垢の一枚板です。

格子雨戸を正面から見ました。
格子の間から光は入りますが、少し動くと格子の隙間は小さく見え
外からの視線は遮られます。
格子雨戸は全部、外側の戸袋に閉めることができますので、開放すると存在が消えます。
民家の雨戸と町家の格子の組み合わせです。

ひろまの北側のキッチンも木のキッチンです。お手入れも比較的簡単です。
右側が造り付け収納です。開き戸ではなく、引き戸にしたいとの奥様のご要望から
少しレトロなキッチンです。
奥の勝手口ドアから外はサービスヤードになっています。
ペレットストーブの燃料などを収納する外部収納などがあります。

キッチンの隣の洗面脱衣室です。
窓越しにバスコートの緑が目に入ります。
コンパクトながらも収納を多めという奥様のご要望です。

浴槽、洗い場がユニットで、その上が在来工法の木の浴室です。
内装は青森ヒバで、乾燥さえ維持していけば、カビの心配はありません。
二方向の通風窓とバスコートを見る窓の組み合わせです。

2階の中央部の多目的コーナーです。
現在はご主人の自転車を置いたり、子供さんの遊び場ですが
将来は個室として仕切れるようにしています。
窓がLow-Eガラス木製サッシのため、夏の昼間でも暑さが厳しくありませんでした。
上の窓は、家全体の換気窓となるハイサイドライトです。

多目的スペースから主寝室を見ています。
多目的スペースの上にはロフトがあり、はしごを使います。
子供さんにとっては格好の秘密基地になっています。
屋根のあぜくら板をそのまま現していますが、断熱はその上に100ミリの
ウッドファイバーを入れていますので、あぜくら板ともあいまって
寒暖を防いでくれます。

設計者

ユーザー (株)木の家づくりネットワーク一級建築士事務所 山中文彦 の写真
オフライン
Last seen: 1年 5ヶ月 前
登録日: 2012-07-24 10:12

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