ローコスト|建築家の設計事例

 終の棲家としての住宅を依頼されましたので、
 それに応える為のメンテナンスのし易さ、ローコスト、充実した設備を考慮して、
 たたき台としてのプランを7案作成させて頂き、そこから更に詳細のご希望を聴き取り設計を
 進めました。

住環境を守るために、意識的に道路側は閉じています。
反対側(南面)は河川敷に面しており、そこに自生している樹木を
自分の庭のように拝借しております。

仕事で使う車を含め3台分の駐車スペースが必要だったので、居住空間を空中へ浮かべることを提案しました。
間口が狭い分、天井を高くして、細長い敷地の特徴をそのまま空間化し、開口部を妻面にとって、どこまでも視線が隔てられない、広々とした空間を目指しました。

60㎡の敷地で住宅が建て込み、三方隣家に囲まれていて北側に道路があります。
しかしさほど広くないその道路を挟んで小石川植物園と向き合っているので、緑の恩恵に浴することができます。南側には高さ約10mの住宅が迫っており、その上からいかに太陽光を取り込むかが課題でした。

3世帯が共有する部分、プライベートな部分を効率よく配置し、明るく楽しく暮らせる住宅としました。

今までの生活で使っていた家財道具を細かく確認して、無駄無く
使い易い収納の位置をつくっていきました。

シビアな寸法に対応する為、オーダーキッチン・家具を製作者から
直に買い付けるなど予算の範囲で組み込める様に工夫しました。

北側に見える海の眺望を大きな窓で多く取り込みたい反面、標高が高く、冬には寒冷であるため、開口面積が大きいほど冬場には不利となる相反する条件をセルロースファイバー断熱、外付ブラインドを設置して解決しました。

現在は2階に寝室がありますが、将来を考え、1階のみで生活できるよう、洋室(6帖)+和室(6帖)を1室の広間とし、更に和室にあった床の間と押し入れ部分を広間の一部になるようなクローゼットに作り替え、玄関空間をも広間の一部へ取り込んで、16帖余りの大空間に仕立てました。

奥様が喘息に苦しんでおられたので、幹線道路への抜け道になっている前面道路に対して開口部を制限して排気ガスや粉塵から室内環境を守り、また敷地境界線ギリギリに建っているアパート越しに暖かい日差しを採り込み、通風を得られるように、中庭を囲むようなプランを考えました。

建物の安全性にはかなり神経を使っています。崖地そのものを建物で抑える構造としているために、その土圧を強固で自重のある鉄筋コンクリートの基礎だけではなく、30本余りの鋼管杭にも負担させることでこの基礎を構造的に成立させています。崖地や傾斜地での建築では一番神経を使うところです。

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