外部の環境と積極的に交流できる中庭・設計事務所アーキプレイス 石井 正博
住宅は単に機能的であれば良いわけではなく、住まいには外部の環境(自然)と積極的に交流できるような場所、昔の縁側のような住まいと自然をつなぐ場所が必要です。
中庭について設計事務所アーキプレイス 石井 正博さんに伺いました。
貴社が中庭のある家をてがけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい
住宅街では土地が細分化され、昔の日本の住居のように、塀や生垣に守られた南の庭に面して大きな窓や縁側を設けた家を計画することは難しくなっています。
街を歩くと、敷地が狭くプライバシーを守るものがないのに、無理に南側に開いたため、カーテンを閉めっぱなしにしている家をよく見かけます。
住宅は単に機能的であれば良いわけではなく、住まいには外部の環境(自然)と積極的に交流できるような場所、昔の縁側のような住まいと自然をつなぐ場所が必要だと思っています。
設計をはじめた当初から「中庭」は、現在の細分化された土地に、心地よく快適な住まいを創る上で、有力な方法だと考えており、幾つかの中庭のある住宅を設計してきました。
また、より土地の細分化が進んだ場所では「宙を囲む家」「空のと暮らす家」「室内化したテラスを持つ家」などの壁で囲んだデッキテラスを2階の高さに持ち上げた住まいも設計してきました。
これは「中庭のある家」の都市型だと捉えています。
いずれも、周辺環境が変化しても快適な環境を自ら確保しておくことができ、自然を感じながら暮らすことができるため、現在の家づくりでは有効な方法だと考えています。
中庭のある家の費用はどれくらいでしょうか?
中庭のある家では、同じ床面積の四角い家に比べると、壁の量や足場などが増えます。
これに中庭の床材や下地材、塀の費用が加わるので、その分コストアップになります。
目安としては、中庭の施工床面積(坪数)×50~70万程度で概算しておくと安心です。
中庭のあるアパートなども設計していただけますか?
ある程度の広さを確保できる土地が必要だと思いますが、喜んで設計させていただきます。
中庭があると、プライバシーを守りながら採光や通風ができるので、居住環境がよく、他のアパートと差別化できるユニークなアパートができると思います。
中庭にウッドデッキを設ける際の注意点がありましたら教えて下さい
中庭に使うウッドデッキとして代表的なのは次の3つが考えられます。
それぞれのメリットと注意点も記します。
- イタウバ、セランガンバツなどの南洋材
- レッドシダーやヒノキの耐久性の高い針葉樹
- 木粉に樹脂を混ぜて固めるなとした人工木材(再生木)
天然木でありながら、強度、耐久性が高いことがメリットです。
一方で、硬い木なので加工が大変なこと、樹液が垂れて下階の床や置いてあるものを汚す時があります。
また、経年でささくれる材でもあるので、素足で歩く場合は注意が必要です。
加工が容易でイニシャルコストはいちばん手頃な材料です。
他の材ほど耐久性が高くないため、上手にメンテナンスしていく必要があります。
自然の材料なので、反ったり曲がったりする材も混じっています。
人工木材は耐久性が高くメンテナンスが容易なことが最大のメリットです。
一方で、樹脂の人工的な風合いが許容できるかどうかがポイントになります。
真夏の直射日光を浴びると、表面は素足で歩けないほど高温になります。
人工木材以外は雨や紫外線により、徐々に色が抜けて2年程度でシルバーグレー色になります。
色を保ちたい場合は、状況を見て着色保護塗料を塗る必要があります。
ウッドデッキの床高さは、室内の床の高さに近づけるようにし、隙間を5?10mm程度開けて張ります。
隙間が狭すぎると、雨後の乾燥に時間がかかり、デッキ下にも湿気がたまりやすく、木が傷みやすくなります。
隙間が広すぎると、小さなお子さんがつまづいたり、隙間から物が落ちやすくなります。
ウッドデッキの下には、防草シートを敷きその上に砂利を敷くことで草が生えにくくします。
ご予算的にコンクリートを打てれば、ウッドデッキ自体の持ちがよくなり、 根太などの下地材の耐久性も上がります。
中庭の大きさがどれくらいがいいのでしょうか?
中庭の大きさは場所や目的によって変わってきます。
採光や通風を確保しやすくして室内の環境を高めたい、室内から庭の緑を楽しみたい、食事やお茶を楽しみたい、ビニルプールを出して子供に水浴びさせたい、ガーデニングを楽しみたいなど、中庭の使い方を具体的にイメージしてみることが大切になります。
LDKに面する中庭の場合、4畳程度~面する室内と同等程度の大きさが目安になりますが、周りの壁の高さとの関係や方位なども、中庭の形状や大きさを決める上で欠かせない要素です。
テーブルを出して食事やお茶をする場合などは、広さとともに奥行きが大切で、1.8m程度あると使いやすい中庭になります。
浴室や玄関などに面する中庭(坪庭)は1坪(2畳)程度~ぐらいでも大丈夫ですが、狭いと光や風も入りにくいため、方位や近隣の建物の影響、庭に植える樹種など考慮して大きさを決めることが必要です。
中庭にオーニングを設けることも可能でしょうか?
可能です。
その場合、オーニングを付ける場所と大きさを設計段階で決定し、中庭への搬入経路も考えておきます。
オーニングの設置工事に先立ち、取り付け部分に下地や電源を用意しておくことも必要になります。
「猫と暮らす中庭のある家」で工夫した点を教えて下さい
南北に長い敷地だったため、家の真ん中が暗くなるところに中庭を設け、建物でコの字型に囲っています。
中庭には、玄関、ダイニング、洗面+浴室が面していますが、中庭の南側は1階建で、その上を通った光を吹抜けのダイニングに取り入れる断面構成です。
キッチンからも空が見えるようになっています。
中庭のウッドデッキは、室内から段差無く出入りでる高さにして行き来しやすくしています。
ウッドデッキは室内との一体感が増すように、室内のフローリングの色に合わせて、ウッドデッキ(南洋材)を自然塗料のオスモで着色しています。
中庭の塀の高さは、防犯面のほかに、猫が逃げない高さを考慮して決めました。
ところが、引越し後に猫の運動能力が格段に上がり、その高さだと脱走してしまうため、ネズミ返しならぬ猫返しを考案し取付けました。
その後、猫は中庭から脱走していないようです。
設計事務所アーキプレイス 石井 正博さんの中庭・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
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猫と暮らす中庭のある家 | 「居心地のいい、落ち着く家」が家づくりのテーマです。 | |
蕨市のコートハウス | 旧中山道の風情の残る街区に計画した50代鋼板のご夫婦の対の住まいです。 | |
木立に佇む家 | 木立に囲まれた豊かな自然の中、冬には浅間山も望める敷地の特徴を活かし、周囲の視線を気にすることなく、四季折々の変化を身近に感じながら暮らしていける住まいです。 | |
細長変形地の二世帯コートハウス | 敷地は都心の住宅密集地にあり、三向を建物に囲まれた細長い変形敷地です。 | |
趣味や時間を大切に犬猫と暮らすコートハウス | 「機能・効率性が高く、収納に無駄がなく、家族それぞれの趣味や時間を大切にしながら、ペット(犬・猫)とともに暮らす居心地の良い住まい」を家づくりのテーマとした4人家族とペットの住宅。 |
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