窯元の家N邸

●設計事例の所在地: 
岐阜県土岐市
●面積(坪): 
新設部分105.60㎡(32坪) 既設112.62㎡(34.13坪)
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

漆喰の壁、軒の深い木造屋根等、和の要素は残しつつ、堅苦しくないお洒落で個性的な雰囲気の和モダンな外観、塀は陶器の織部の細長い陶板をアレンジしています。伝統的な日本家屋の形をしていながら、現代にもマッチしたデザインの住まいです。

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

窯元という仕事柄、食事を土足でできるよう台所と食卓の床は土間となっていて
住宅のプライベートな部分が仕事と混在してとても落ち着かない。
冬は底冷えで寒く、夏は暑い。
お母屋の床と土間との段差が大きくとても不便。
新しい住まいは仕事とプライベートを上手く仕切り落ち着いた快適な住まいにしたいという希望でした。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

近くの人だということで生活内容が説明しやすいということ、相手の立場に立ってしっかり考えてもらえる人、そんな印象を持たれたそうです。それで最初のたたき台のプランをして動線もよく内容を気に入っていただきました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

プライベートを確保するため台所と食卓やリビングを上履きとましたが、仕事のことも考え直接仕事場の方へ行けるドアを設け段差も小さくすること、来客が来た時わずかに気配が感じられるよう小さな窓を設けました。
内装も家具も、木を基調とし、珪藻土の壁を設けるなど、自然素材で程よい呼吸をする品性のある空間としています。
基本的には依頼者の思いを積み重ねて住まいの形にしていきました。
築35年の母屋との融合もあって、その既設部分も耐震補強をし、全体に耐震性を持たせています。
この住まいは窯元という伝統を大事にしているクライアントの生活背景や和の良さをふんだんに取り入れつつも、現代のライフスタイルに合う様にアレンジした、個性的で和モダンな家となっています。

依頼者の声: 

4年経った先日こんな声をいただきました。

既設の住まいは木造の母屋と鉄筋コンクリートの増築部がありましたが、台所は鉄筋コンクリート造の方にあり窯元という仕事柄、食事や休憩を土足でできるよう床は土間になっていました。仕事面ではよかったのですが、住宅のプライベートな部分が仕事と混在していてとても落ち着いて居られない状況でした。それと土間と母屋の床の段差が異常に高いためとても不便なのと、冬は土間のため底冷えがあり夏は暑いという環境でした。
新しい住まいは仕事とプライベートを上手く仕切り落ち着いた快適な住まいにしたいという希望を抱いていました。

まず誰に依頼しようかということで、その方面で知っている方に同じ町の人で安藤さんという方がみえると聞き、早速お話を伺うため来ていただきました。いろいろ話をさせていただき、近くの人だということもあり生活内容が説明しやすいということ、相手の立場に立ってしっかり考えてもらえる人、そんな印象を持ちました。それで最初のたたき台のプランをしていただいたところ内容がよかったので依頼することにしました。

工事中、都合がつけば定例打ち合わせにも参加しました。
工事の進捗状況がよくわかったのと、その都度いろんな相談に乗っていただけたことは本当にありがたく感じました。

木造で増築ですが、無垢の木や土壁で落ち着いた快適な住まいになったと思います。既設の母屋も耐震補強も含め天井裏を広いロフトにするなど改造してもらい、新設との融合も自然なことのように全体の動線がとてもよく考えられていると感じています。
全体的に和モダンな雰囲気で特にリビングは木工家の早川さんに造っていただいたテーブルと壁のカウンターがベストマッチしていて、アイランドキッチンからリビング全体や掃き出し窓の外の庭が見えるのがとても気に入っています。
仕事とプライベートな仕切りもリビングやキッチンは上履きになったことで、プライベートな落ち着きは確保できつつそれでも仕事の関係上人の気配はわずかに感じられるなど微妙な関係性を確保できたと今も感じています。物理的にもわずかな段差で行き来ができるようにしてもらいました。
在来で造っていただいた浴室は洗場も使いやすく坪庭の照明を灯すと雰囲気がよく露天風呂感が味わえてとても快適です。

もう4年以上経ちますがその間、どんな些細なことでも電話一本で駆けつけてもらえます。
いろんな相談事にも乗っていただけるので、心強いと思います。そんな風にアフターもしっかりやっていただけるので、本当に感謝しています。

その他の画像: 

格式ばって重厚過ぎず、でも品があり落ち着いた佇まいです。
木格子の戸には、陶器の手掛が組み込んであり、窯元ならではのアイデアが生かされています。
夜は白塀の隙間から、住まいの光がもれて来て、幻想的な佇まいに変わります。

木や珪藻土を基調としたぬくもりを感じる雰囲気のリビングダイニングとなっています。
奥の壁に面して取り付けられた長い木のカウンターは、飾り棚だけでなく机としても利用が
出来ます。また、カウンターに面している白壁には掛け障子がありますが、それを外すと
開放できる窓が現れ風が通ります。その障子はインテリアのアクセントとにもなっており、
部屋全体に趣のある上品さが漂い、優しい雰囲気が部屋にもたらされています。

リビングから続いて設けられている和室スペースです。
敷かれているのはシンプルな縁なしの畳、壁は珪藻土、天井には簾にも利用されるイネ科の
葭を使っています。リビングと比べても違和感の無いよう、かっちりとした和室ではなく、
和の良さを生かしたモダンな畳の間としています。
伝統的な床の間の代わりに設けているのは、引き戸の収納がある飾り台。
また、カーブを描いた変則的な壁の後ろから障子を見せています。
天窓からは自然光が差し込み、全体的に明るい空間としています。

石を敷き、風情のある和風の中庭です。ガーデン部分の囲いには、既存の瓦を利用しており、
歴史を繋いでいます。栗板を使用した縁側を設け、ここに腰かけて日向ぼっこをしたり、
お茶を飲みながら季節の移り変わりを感じたり、小さいながらもこの中庭はホッとする
住まいの癒し空間となっています。漆喰の壁で囲まれているため、他人の目を気にする必要も
ありません。

木のぬくもりと、石のバランスが美しい和モダンのバスルーム。バスタブに面する開口からは、中庭を見ることができます。これによって、まるで和風旅館や温泉に来ている気分にもなれそうな、最高のリラックス空間となりました。木板の素材には、針葉樹のサワラを使っています。
和モダンの家にマッチした上品でお洒落なバスルームです。

夕暮れ時に猫も縁側でリラックスしています。

設計者

ユーザー アンドウ設計事務所 安藤孝彦 の写真
オフライン
Last seen: 1ヶ月 1週 前
登録日: 2012-07-24 10:28

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