●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
西斜面に跳ね出すようにしてパラレルに居住空間を配置し、中央にアプローチを兼ねた外部空間を貫入させた。長辺方向をすべてガラスで構成し、西の緑をすべての部屋に映し込んでいる。アプローチ手前側にアトリエ、奥に住居を配置し私的性を高め、床は全面タイル張りとし、空間に連続性を持たせた。このタイルが持つ厳密なモジュールとシャープなエッジが、均質な水平の「面」として強調され、マットな質感は、空間全体に落ち着きを与えた。
構造は南北のRC造のみで耐震的に構築し、鉛直的には小断面の鉄骨を主体構造としている。柱は75×45の角パイプを厚さ9mm、幅125mmの2枚のフラットバーで挟み込むように溶接することで、柱脚部や無目材との接合部のディテールをシンプルなものにしている。また、ガラスを受けるバックマリオンとしても利用し、大きなガラススクリーンを可能にしている。屋根版はc—125×65のフレームを幅1.8m長さ4mのユニットにした。ユニット同士をボルトで一体化させ、軽くスレンダーな断面で構成することによって、施工性を向上させた。鉄骨部の応力は、南北の4枚のRCの片持ち壁に伝えられる。基礎は斜面を避け、平坦な部分に構築しカウンターウエイト基礎としてバランスを取っている。