●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
敷地はJR日立駅より徒歩15分程度の住宅地に位置します。はじめて現地を訪ねた道中、日立製作所をはじめとする工場を多く見かけました。敷地の隣にも中規模の工場が建っており、切妻屋根の工場建築は、この地域では日常的な風景であり、この街を象徴する‘カタチ’であると感じました。
これらを踏まえ、外出が難しい妹さんが屋内に居ながらも樹々の緑や青い空などの屋外的要素をあじわえ、元気な4姉妹が家中を走り回れる、余計な隔てのない工場のような家を提案しました。
1階は介護の拠点となる妹さんのスペースを中心に両親スペースと家族が集う共有スペースを配置、全面を土間床とし蓄熱式床暖房を設置しています。2階は大小3つの吹抜を介して1階とも繋がる子世帯スペースを配置、中央の吹抜に輻射式冷温水パネルを設置しています。
大所帯に相応しい気積を確保すべく、矩勾配の切妻屋根とし小屋組を排除した方舟は、工場建築のようでもあり合掌づくりのようでもある、家族を包むシェルターです。
明るく仲のよいこの家族らしい、ポジティブで風通しのよい棲家となりました。