傾斜を活かした住宅・江川竜之建築スタジオ 江川竜之


 
傾斜地は平坦地に比べ土地の価格が安価であるので、その分を建物建設費に充てることができます。
 
傾斜地について江川竜之建築スタジオ 江川竜之さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 江川竜之建築スタジオ 江川竜之 の写真
名古屋市西区名駅2-28-1フェニックスビル5F
052-433-1930

 

貴社が傾斜地をてがけるようになったきっかけを教えて下さい

 
名古屋市内の平坦地は、地価の高騰などにより、なかなか住宅用地としての取得が難しくなってきたことが背景があります。
市内の利便性の良いエリアにて、住宅を建てようとした時には、何らかの特殊な地勢的な条件を受け入れなければ、土地を購入できない案件が増えてきており、結果、傾斜地を選択される方が増えたのだと思います。
 
そのような方々からの相談を受ける機会が増え、傾斜地の物件に携わらせていただくことになりました。
 

 

傾斜地のメリット・デメリットを教えて下さい

 
<メリット>

  • 平坦地に比べ土地の価格が安価であるので、その分を建物建設費に充てることができる。
  • ロケーションによっては、眺望を楽しむことができる。
  • 隣地と目線高さが合わないことが多いので、プライバシーを確保しやすい。
  • 傾斜部分を半地下として、ビルトインガレージなどがつくりやすい。

<デメリット>

  • ケースバイケースであるが、平坦地よりも建設費が高くなる傾向がある。
  • 崖条例や宅地造成等規制法などの法令により、とても厳しい条件が課されることがある。

 

傾斜地で注意する点を教えて下さい

 

  • 先にも触れましたが、崖条例や宅地造成等規制法などの法令の影響を受ける敷地かどうかを把握することが、最も注意すべき点となります。
    敷地内だけではなく、隣地外にある高低差も調査し、建設できない範囲があるのか、擁壁をつくらなければならないのか、ということを調査する必要があります。
  • 接道が傾斜の上方であるか、下方であるか。(希に傾斜に沿った接道もありますが)
    接道が敷地の上方である場合は、下方で接道している敷地よりも、いろいろと有利な点があります。
    例えば、先の崖条例などの法令に関してもそうですし、建設する際の資材の搬入についても、高いところから低いところに供給する方が施工しやすいと言えます。

 

傾斜地の基礎の費用は高くなると思いますが、どれくらい高くなるのでしょうか?

 
傾斜地に沿わせて、あまり地形を変えずに基礎をつくるとなると、確かに平坦地に比べて高くなる傾向にあるかと思います。
ただし、どれくらい高くなるかについては、状況によるので、一概に申し上げることは難しいと言えます。
 
強いて言えば、傾斜の勾配がきつくなるに従い、また接道から建屋位置が離れるに従い高くなる、ということだと思います。
これは基礎だけに限らず、です。
 

 

傾斜地の造成費用を減らす方法を教えて下さい

 

  • 一番効果的な方法は、接道から近い場所に建設することです。
    接道が上方の場合は、道路近くに建設しても、比較的に眺望を楽しめるロケーションが多いと思います。
    一方で、接道が下方の場合は、敷地の高いエリアを使い切らない計画となるので、なんだかもったいない気がしてしまいがちです。
  • 一般的な模範解答は、敷地形状に沿わせて段々形状に、または傾斜形状に基礎をつくる、ということになるでしょうか。
    建物を建てる位置まで、重機が行き来できるようしなければならないケースがほとんどなので、そのための経路をつくる造成費用がかかってしまいます。
    従って、やはり道路から近い位置につくることが、この経路をつくる造成費用を多くかけずに済むことにつながります。

 

傾斜地の擁壁費用を減らす方法を教えて下さい

 
よく採用している方法になりますが、擁壁工事と建設工事を別々に行わず、擁壁を建物の構造の一部として設計し、建設することです。
これは、工事期間の短縮と工事費用の縮減の2つに寄与します。まさに一石二鳥です。
よほどのことがない限り、当事務所ではこの方法を採用するよう計画しています。
 

眺望が拡がる家で工夫した点を教えて下さい

 

↑眺望が拡がる家

この物件は、接道が上方にある物件です。複数社の提案の中から当事務所を選んでいただきました。
他社の提案は、かなり道路から下がって離れた位置に計画していた案が多かったと伺いました。
 
当事務所では、わかりやすく言いますと、ご予算に応じて道路と建物の距離を調整しています。
傾斜地において、道路から離れた計画は、工事費増に直結するからです。
 
クライアントからは、上方の道路から見渡せる景色が気に入ってこの土地を購入した、と伺っていました。
よって、なるべくその眺望を享受するためには、高い位置に建てるべきであると考えました。
 
幸いにも現地を見に行った際に、道路から急勾配の傾斜が始まるのではなく、緩やかな傾斜のあとに勾配が徐々にきつくなる地勢でした。
眺望、コストなどを総合的に検討し、上方道路に沿わせて建屋位置を決めました。
 
次にその眺望の見せ方について考えました。
メインのLDKを二等辺三角形の平面形状として、長辺を楽しむべき眺望の方に向けて、床から天井までの大開口としました。
玄関から二等辺が交わる角にアクセスし、LDKに入ると、一気に眺望の広がりを感じていただけるよう視覚的に演出する手法を用いています。
 
LDK断面の天井にも傾斜を設けています。二等辺が交わる角から長辺に向かって高くなるように傾斜を設けて、
断面方向にも視覚的な広がりを感じていただけるよう設計しています。
 
長辺の大開口の先には広めのウッドデッキを設け、室内からも室外からも眺望を楽しめるように意図しています。
そのほか、居室や浴室からも眺望を楽しめるように、レイアウトに工夫を施しています。
 
眺望が拡がる家・平面図
↑眺望が拡がる家・平面図

眺望が拡がる家・断面図
↑眺望が拡がる家・断面図
 

傾斜地に建つ家で工夫した点を教えて下さい

 

↑傾斜地に建つ家

 
本物件は、住宅街の中にある傾斜地に当たり、特別な眺望を楽しめるようなロケーションではありませんでした。
むしろ、斜線制限等の高さ制限の中、精一杯大きくつくることに苦心しました。
 
そのような条件の中、広いガレージスペースのご要望をいただいていたので、必然的に傾斜を有効利用した半地下のガレージを提案する運びとなりました。
接道は上方と下方の両方にあり、下方がメインの道路であったので、そちらからガレージに出入りできるようプランニングをしています。
 
地下の構造体は鉄筋コンクリート造としているので、全体を鉄筋コンクリート造として建てることも考えましたが、
コストダウンを図るために、最終的には木造との混構造を採用しました。
 
当事務所では、地下部分を鉄筋コンクリート造、地上部分を木造とする混構造を頻繁に設計しています。
住宅という低層の用途の中で、必ずしも全体が鉄筋コンクリート造である必然性は見当たらないので、クライアントより全体を鉄筋コンクリート造で、との申し出を受けない限り、コストダウンの手段として混構造に至ることが多いです。
 
傾斜地に建つ家・断面図
↑傾斜地に建つ家・断面図

ハウスメーカーや工務店ではなく、貴社に傾斜地の建物を依頼するメリットを教えてください

 
実際のところ、ハウスメーカーさんや工務店さんと話を進めていたが、理想の家づくりができるか不安になって、当事務所に相談に見える方がいらっしゃいます。
 
共通でおっしゃられることは、ハウスメーカーさんや工務店さんが言われるには
「まずは大規模な造成工事を行い、擁壁をつくって平場を確保しましょう」
という提案だそうです。
 
結果的にその方法が安価となるケースもあるので否定はいたしませんが、当事務所としましては、なるべく傾斜を活かした提案をさせていただきたいと思っています。
 
一言で傾斜地と言っても、その状況は千差万別、十人十色なので、まずはクライアントの傾斜地への想いをお聞きし、現地にて地勢や近隣との関係を読み取り、法令や予算に照らし合わせて、ようやく案が浮かび上がってきます。
 
当事務所にご依頼いただくメリットは、そういった過程を経た結果、紡ぎ出される空間を提案させていただく、ということかと思います。
  

土地探しの段階から相談にのっていただけますか

 
当事務所は「個性派不動産」という不動産仲介業も運営しております。
「宅建士」と「建築士」を合わせた造語「宅建築士」として、不動産業者の視点だけではなく、
設計者の視点も合わせて、土地探しのご協力をさせていただいております。
 

傾斜地の集合住宅も設計していただけますか?

 
もちろんです。当事務所は住宅だけでなく、集合住宅、寮、ホテル、オフィスビル、テナントビル、医療施設、福祉施設、教育施設など様々な用途の設計に携わらせていただいております。
どのような用途でも、ご相談いただければと思います。
 

傾斜地に建物を建てたい方にアドバイスがありましたらお願いします

 
その傾斜地を気にいった理由、すなわち傾斜地の持つ個性をしっかりと設計者に伝え、その想いを実現してもらえる方をパートナーとして選ぶことが重要かと思います。
 

江川竜之建築スタジオ 江川竜之さんの傾斜地・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
眺望が拡がる家

敷地のほとんどが傾斜地となっている中で、わずかに残る平場を有効に用いることで、造成工事を極力少なくするよう計画しました。
傾斜地の高い側に建てることで、より遠くまで眺望を楽しめる利点も併せ持っています。

傾斜地に建つ家

起伏の多いエリアの傾斜地であり、前面道路と裏道路には5mの高低差がありました。
斜面に差し込むようなかたちで地下をコンクリート構造のガレージ、上部を木造2階建ての住まいとして混構造にて設計しました。

 

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