日本の優れた文化を継承する古民家再生・降幡建築設計事務所名古屋分室 川辺昌弘さん

茶室

古民家には日本の木造の伝統的な優れた技術と意匠があります。
降幡建築設計事務所名古屋分室 川辺昌弘さんは日本の優れた文化を継承することに使命感を持っているそうです。
 
古民家再生について降幡建築設計事務所名古屋分室 川辺昌弘さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 降幡建築設計事務所名古屋分室 川辺昌弘 の写真
名古屋市守山区喜多山2丁目12-16
052-795-5966

 

貴社が古民家再生を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい

 
元々は新築の和風住宅を主に手掛けていましたが本社の長野県では古民家が多く再生工事の依頼が多くありました。
その後、日本全国で古民家の維持に困る方の依頼が増えました。
古民家の修復には調査、設計が難しく、工事も手間がかかるので工務店からは敬遠されていました。
しかし古民家には日本の木造の伝統的な優れた技術と意匠があることが分かっていたので積極的に再生工事を行う様になりました。日本の優れた文化を継承することに使命感を持っています。

古民家再生のメリット・デメリットを教えて下さい

メリット:
今まで歴史あるお住まいの歴史、意匠と思いを残し、不便なところ改修して住み続けることが出来ます。
デメリット:
建物の傷み状態に拠りますが費用が同程度かかることが有ります。

古民家再生のポイントについて教えて下さい

 
建物の意匠、構造を細かく調査します。
構造に使われている木材の樹種と劣化の状態、可能な地盤調査を行います。
 
古民家の劣化の一番の原因は地盤面からの湿気による腐朽と地盤沈下です。
湿気と地盤沈下の対応するために揚屋をしてベタ基礎とすることがほとんどです。
また曳家、解体移築の場合もあります。
 
日本の伝統的な木造技術を生かすため、既存の部分を現し木組みを見せるようにします。
過去の改修により張り付けた壁は取り去り除き、元々の木組み、壁を補修して見せます。
古材部分はすべて洗いを掛けて再塗装しています。
自然塗料を使用します。
 
増改築する部分の構造も自然な形で行います。
全体の形は変わりますが日本の文化の家として今後末長く伝えていきます。

古民家再生の費用は新築に比べてどうなのでしょうか?

 
古民家の状態にも拠りますが基礎部分も多く造り直す場合は新築と同程度かかります。
屋根の葺き替え、内外の壁の修繕の面積、建具の造り替え、基礎工事と設備工事一式を行うと新築工事と同程度になります。
 
私達は施工業者を地元の小規模な工務店に依頼します。
新築工事の時の費用を超えない様にしています。
解体して新築を計画していた人に再生工事を進めて実現したことは数件あります。

大手リフォーム工事会社は工事代金の半分は営業経費です。
しかも古材部分を隠す張り付け工事がほとんどです。
 
私達は営業経費の割合が少ないのでコストを抑えられます。
大手のハウスメーカーの住宅の予算であれば設計を含め古民家移築再生住宅は可能です。

補助金を利用して古民家再生することも可能ですか?

 
地方自治体による改修の補助金は可能な限り利用しています。

古民家再生で間取りを変更することも可能でしょうか?

 
私達の古民家再生は文化財の修繕とは違い、住宅として住みやすい間取りを提案します。
平面的な間取りだけではなく外観の屋根の形、構造も変更すること行います。
リフォーム工事会社では行わない増築工事も行います。建築の確認申請を行います。

「大屋根の古民家」で工夫した点を教えて下さい

 
古民家を使うことと広間の茶室と水屋を組み込むことをご希望されました。
敷地の形があるので組み込むことの出来る新潟の古民家を探しました。
移築の古民家の一部に茶室を組み込みました。
 
屋根の形は大屋根の模型を造り提案しました。
屋根勾配は9寸勾配として90度より鋭さをやわらげました。
内外とも土壁は土佐漆喰で和らぎのある白です。

「大屋根の古民家」は移築なのですね。 移築の際に注意していることなどがあれば教えてください

 
移築する古民家の選定は現在では新材では作れない大きさの材の家を使用します。
雪国の古民家が多くなります。
 
施主のご希望が叶えられる規模と形で建設予定地に合うプランができるか仮プランを提案します。
現地で古民家が建っている状態を見て頂きます。
 
よろしければその古民家を施主に解体業者から直接購入して頂きます。
その方が施主のご希望に合います。
私たちは仲介をして売買は致しません。
 
古民家の解体材を所有している業者からでは希望に合った家は見つからず、解体保管されている材料は高価になります。
安価な古民家の狂い、腐朽の進行したものは進めません。
それを使うと修繕に手間がかかり費用が高くなります。
 
古民家を解体する前に使用する材の測量(実測)を行い、古民家の構造図面を作成します。
解体後に実測は無理です。
 
この部分が普通の再生工事とは違う重要なことです。
この段階で設計は始まっています。
基礎と構造をしっかりさせることで新しい形の古民家として残していきます。
 

「旧東海道のお茶屋」で工夫した点を教えて下さい

 
代々磐田でお茶を生産販売している店舗です。
再生前は旧東海道の近くに沿っていました。
 
小振りな古民家でしたが曳家を行い基礎も高く、軒も深くしました。
既存の部分の座敷は一部古丸太の吹き抜けとして庭を見ながら寛げるお茶のカフェです。
 
玄関、LDK、水回りと寝室を増築しました。
増築部分も古民家風の丸太の見える形としました。
 
旧東海道の街並みの一部として親しまれる様にしました。
再生工事ですが、曳家(移転)と増築をしていますので建築確認申請を出しています。

「夫婦の古民家」で工夫した点を教えて下さい

 
西区H様邸と思います。
濃尾地震の後に建てられた築100年の古民家です。
 
地震での地盤液状化の対策を取りました。
揚屋と曳家を行い堅牢なベタ基礎としました。
 
名古屋の伝統的な和の形を壊さない様に最小限の変更で風通しのよいプランとしました。
既存の柱、梁、天井板も丁寧に洗い自然塗料を塗りました。
土壁も既存を補修しました。
 
先に移植可能な木を選別し造園を行いました。
庭と建物は一体の考えです。

「酒屋の家」で工夫した点を教えて下さい

 
地元では一番の規模の家です。
柱、鴨居、梁等も大きな良材を使用しています。
 
土間の部分の梁がシロアリの被害を受け、鉄骨で補強していました。
今回の工事で鉄骨を取り、松の梁に差し替えました。
柱の差し替えもあり大変困難な仕事ですがベテランの大工が行いました。
 
玄関の位置がプランの計画で難しいので思い切って2間移動することにしました。
またリビングは大引き天井の床を取り吹き抜けとしました。
 
この地域も地盤液状化の恐れがあるので揚屋を行いベタ基礎としました。
離れの部分にも浴室、台所を設け3世代で住まわれています。

リフォーム会社でなく貴社に古民家再生を依頼するメリットを教えて下さい

 
私の事務所では伝統的な木造建築を主に設計監理を業務としています。
関連の施工会社も伝統的な仕事を得意としています。
 
多くのリフォーム会社のリフォームは古民家の傷んでいる部分を修復ではなく新建材を張り付けて隠すことを行っています。
再生ではありません。
 
職人の技術はあまり必要ではありません。
伝統的な仕事の技術のある職人はいません。
職人は一度きりの事なので。
 
私達は伝統の技術により、傷んでいる部分は差し替え、継木など行います。
塗壁も修復いたします。
今後も100年以上は住み続ける古民家として再生しています。
 
コスト面では大手のリフォーム会社では下請けに仕事をさせているので経費を半分取り割高です。
私たちは設計、施工とも小規模な設計事務所と工務店で行うので経費は低いです。
 

古民家を宿泊施設として再生する仕事も引き受けていただきますか?

 
古民家再生、古民家移築での宿泊施設も引き受けます。
宿泊施設の案件は長野の本社では数多く実例もあります。
 

貴社の業務可能なエリアを教えてください

 
北海道、沖縄は未だ有りませんが日本全国で行っています。
 

古民家を再生したいと思っている方にアドバイスがあればお願いします

 
日本の伝統的技術と文化、風景を残すために再生の仕事は必要です。
ハウスメーカーの新建材のプレハブの街並みばかりで残念です。
伝統的な職人の技術で伝統的な風景の街並みが出来ることを願っています。
 

降幡建築設計事務所名古屋分室 川辺昌弘さんの古民家再生・設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
大屋根の古民家

傾斜地を利用して居間より眺望の良いプラン
8畳の茶室には水屋も併設しています。

夫婦の古民家

東南海地震での地盤液状化の恐れの高い地域なので堅固な配筋のベタ基礎としました。
既存の庭木も活用希望のため早期に仮移植をしました。建物の配置を南側に2メートル曳家して庭との調和を図りました。古色塗りは自然塗料で行いました。

旧東海道のお茶屋

既存の建物の位置を検討し曳家+増築の形で提案しました。風通しの良い中庭のあるコの字型のプランで設計をしました。床下浸水する雨の対策として80㎝盛り土をして建物を曳家しました。
施工は静岡で多く依頼している工務店に決めました。

酒屋の家

家の東の平屋部分は解体して揚屋してベタ基礎工事と白アリの被害部分の梁、柱取り替えを行いました。プランは六間取りの東側の部屋を玄関にして無駄のない形に変更しました。
玄関の位置が変わることにより東側が広くLDK部分として活用出来ました。

 

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