旗竿地は土地の価格が安い分、建物本体に予算を充てることが可能・三浦尚人建築設計工房 三浦尚人さん


 
旗竿地は土地の価格が安い分、建物本体に予算を充てることが可能です
 
旗竿地について三浦尚人建築設計工房 三浦尚人さんに伺いました。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真
練馬区石神井町1-15-16-203
03-6326-2141

 

貴社が旗竿地を手がけたきっかけがありましたら教えて下さい

 
建築家依頼サービス・募集中の案件で、お客様からお問い合わせがあり、面談を経て設計契約をさせていただいたケースや、私どもの事務所のウェブサイトをご覧になり、同じく面談を経て設計契約をさせていただいたケースがございます。
 

旗竿地のメリット・デメリットを教えて下さい

 

メリット

通常よく見られる四角い敷地形状の整形地と比べて土地の価格が安いため、土地の購入から住まいづくりを考えている方にとっては、土地の価格が安い分、より建物本体に予算を充てることが可能です。
 
土地の価格が安いということは、土地の評価額も他の土地よりも低いので、固定資産税がその分安くなります。
 
道路から奥ばった場所に建物が建っているため、建築本体が見えにくく、内部の様子もわかりづらいので、プライバシーの確保が比較的しやすい。
 
道路から建物が建つ旗部分の土地まで距離があるので、道路斜線制限の影響を受けにくく、プランの幅が広がります。
 
自家用車を所有していない方にとっては、竿部分の土地(以下、竿地と呼ぶ)を京町家のように趣のある玄関アプローチを演出できます。
 
竿地の長さにもよりますが、道路から建物までの距離があるので、比較的静かです。
 
また、玄関から道路までの距離もあるため、小さなお子さんが道路へすぐ飛び出すことも少ないです。
 

デメリット

宅地開発や分筆によりできた旗竿地の場合、インフラ設備が通っていないケースがあります。
 
そういう場合、建物の配置によっては道路からのインフラ設備の引き込み距離が長くなり、水道や電気などの設備工事費用が余計にかかる可能性がある。
 
将来に売却を考えている場合、土地購入価格が安かった分、資産価値もそれに伴い他の相場より安い評価額になってしまいます。
 
竿地の幅が狭いと建設時にクレーン車などの重機の搬入が難しく、建設費が増すことになります。
 
竿地の幅が2.5メートル未満の場合、車の出し入れが難しく、また駐車時における人の出入りも大変になります。
 
自家用車を複数台所有する場合、縦列駐車となることが多くなるため、車の出し入れが面倒になります。
 
竿地を除いて、敷地のほぼ四方を隣家で囲まれているケースが多いので、採光と通風の確保に工夫が必要になります。
 
玄関へのアプローチは竿部分からになるため、玄関位置もそれに伴ってある程度限定されます。
 

 

旗竿地の間取りで気をつけている点を教えて下さい

 
道路から竿地が長い土地の場合、浴室、洗面、トイレ、キッチンなどといった水廻り設備を出来る限り竿部分の近いエリアに配置し、給排水設備の配管距離を短くすることにより、建設工事費を抑えるようなプラン(間取り)にしています。
 
また、セキュリティを考慮して道路から直接玄関が見えないようなプラン(間取り)を考えています。
 
同様に、道路(竿部分の土地)から庭や室内が覗けないようなプラン(間取り)づくりと開口部の位置や大きさを気にかけます。
 

旗竿地の場合、駐車場はどうしていますか?

 
土地の広さ、形状、竿地の長さ、幅、道路の幅員など様々な要素が関係してくるので、一概には言えません。
 
敷地が広く、竿地の先で車が転回可能であれば、ビルトインガレージも考えられますが、たいていの場合は、竿地にバックで縦列駐車することが多いです。
 

旗竿地で日当りを確保するためにどうしていますか?

 
敷地の四方を隣家に囲まれているケースが多いので、建築本体の形状や配置は採光や通風を確保するうえでとても大事なことです。
 
住宅地の場合、建ぺい率は50%前後が多いので、残りの50%前後を屋外空間(中庭や坪庭)として利用しつつ、その屋外空間を囲むようなL字型やコの字型、いわゆるコートハウスと呼ばれるプランにすることで、プライバシーを保った中庭や坪庭に面して大きな開口部(窓)を設けて日の光を取り込む工夫をしています。
 
この考え方は、旗竿地に限ったことではなく、一般的な整形地での住宅でも同様です。
 

 

「旗竿地のコートハウス」の設計で苦労したこと・工夫したことなどを教えてください

 
苦労した点は、旗竿地(敷地延長)で、しかも建ぺい率40%、容積率80%という厳しい条件、さらには敷地に面する道路が建築基準法上の道路ではなく、法43条ただし書きの道(私道)であり、建築確認申請を行う前に行政機関の建築審査会による許認可が必要な、いわゆる原則再建築不可である土地だったという点です。
 
工夫した点は、東南に中庭を設けてそれを囲むように片流れ屋根の平屋建てと切妻屋根の二階建てを組み合わせたプランとし、L字型のコートハウスにして、採光と風通しを確保するプランにしました。
さらに、セキュリティを考慮して道路から玄関ドアが見えないようにあえて玄関アプローチ正面には玄関ドアや窓を設けませんでした。
 
また、建設コストを考慮して浴室、洗面脱衣室、トイレ、キッチンといった水廻り設備を出来るだけ道路に近い玄関アプローチ側に寄せる配置にしました。
 

 

旗竿地のアパートなども設計していただけますか?

 
都道府県の条例などが関係してきますので一概には回答出来ませんが、条例等を含めた法規がクリアしていれば設計いたします。
 

旗竿地に家を建てたいと思っている方になにかアドバイスがありましたらお願いします

 
旗竿地という特殊な土地形状、建ぺい率と容積率、斜線制限等を考慮しますと、北側道路(竿地も北側)の旗竿地を探されたほうがプラン(間取り)を考える上で有利だと思います。
 
建築基準法上、土地が道路に2メートル以上接していなければ原則建築出来ませんが、自家用車を所有されている方の場合には、竿地の幅が最低3メートル以上ある土地を探されたほうが宜しいと思います。(建設重機の搬入を考慮すると、3.5メートル以上がベター)
 
土地購入費と住宅建設費とのトータル予算をはじめ、家族構成、建ぺい率や容積率等の建築法規も関係してくるため一概には言えませんが、目安として竿部分の土地を除いた土地の広さが25坪以上あったほうが宜しいかと思います。
 
上下水道やガス、電気等のインフラ設備がきちんと通っているか、あるいは敷地内に引き込む際の支障がないか、を確認されたほうが良いと思います。
 

三浦尚人建築設計工房 三浦尚人さんの旗竿地設計事例

 

画像 建物の名称 紹介文
旗竿地のコートハウス

敷地の東南に大きな中庭を設け、それを囲むように片流れ屋根の平屋建てと切妻屋根の二階建てを組み合わせたL字型のコートハウスにして、採光と風通しを確保するプランにしました。

 

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