家賃収入が見込める賃貸併用住宅・株式会社ユミラ建築設計室 弓良一雄さん


自宅の建物の中に賃貸スペースをつくると家賃収入が見込めます。
賃貸併用住宅にすれば建設費用は多くかかるものの、家賃収入により月々のローンなどの返済は通常より安くおさえる事が出来ます。
 
賃貸併用住宅について株式会社ユミラ建築設計室 弓良一雄さんに伺いました。

お話を伺った建築家

 

ユーザー 株式会社ユミラ建築設計室 弓良一雄 の写真
世田谷区北沢2-8-6-802
03-5452-8155

貴社が賃貸併用住宅を 手がけるようになったきっかけがあれば教えてください

私は集合住宅を多く設計していますので、自然と賃貸併用住宅の設計依頼も多くなりました。
賃貸併用住宅は施主世帯と賃貸の住人世帯が同居する共同住宅です。
ただ施主の住む空間と賃貸部分を敷地条件にあわせて合理的に分離していくだけで、集合住宅と変わりはありません。

複数の世帯が住むということでは二世帯住宅のつくり方とも似ています。
時間がたって将来の家族構成が変わっていった時も対応出来るつくり方です。

現在は親との二世帯住宅も敷地に余裕のある時は余ったスペースを活用して「二世帯住宅+賃貸住宅」とする方法もあります。
将来、賃貸部分にご自分のご子息が住まう事も可能となるなど賃貸併用住宅はとても多様性のある住宅のつくり方です。

私の自宅も賃貸併用住宅です。
何年も前に自宅を建替えたのですが、敷地に広さの余裕があったためRC造の3階建て賃貸併用住宅としました。

賃貸併用住宅の実験場になっています。
自分も住んでいるためこうしておけば良かった等と反省することもありますが、賃貸併用住宅の問題点も把握でき、それを改善しながら他の建物の設計に役立てています。

賃貸併用住宅のメリットを教えて下さい

 
自宅の建物の中に賃貸スペースをつくると家賃収入が見込めます。
賃貸併用住宅にすれば建設費用は多くかかるものの、家賃収入により月々のローンなどの返済は通常より安くおさえる事が出来ます。
 
計画段階で家賃収入や建設コストを想定し、ある程度の利回りが期待出来る場合、多くの金融機関は融資をしてくれます。
将来にわたっての家賃収入は資産として魅力的です。

賃貸併用住宅のデメリットを教えてください

 
自分たち家族と賃貸住宅に入居する他者が同じ敷地内に同居する事です。
快適な住環境のためには生活空間の区分けの仕方が重要となります。
 
自宅と賃貸住宅との間に適切な間合いを取ることでプライバシーを確保すること、お互いの生活音などの対策のため遮音性能に配慮した計画とすることが大切です。
 
賃貸併用住宅のため敷地内に自宅だけがある場合と違い、賃貸住人のために多少であっても清掃など賃貸住宅の管理的な業務を行なう必要があります。
また、賃貸住人の退去時には修理補修などに気を使う煩わしさがあります。

賃貸併用住宅の間取りで注意している点を教えて下さい

 
自宅を建物のどの位置に計画するかが重要となり自宅スペースと賃貸スペースを可能な限り分離する事が大切です。
出来れば自宅と賃貸住宅の玄関へのアプローチは分かれている事が望ましいです。
 
自宅の配置(最上階か接地階か、道路側なのか敷地の奥なのかなど)は、敷地の状況(接道状況や方位、周囲との高低差など)により判断します。
狭い場所や周辺が建て込んでいる場所であってもそれぞれの敷地には固有の良さがあります。日当りは悪いが上階は空がよく見える、または地面には庭があり植栽を楽しめる環境などその敷地の特徴を生かしながら建築計画をする事が大切です。
 
賃貸併用住宅のつくり方には敷地の条件により三つくらいのタイプがあります。

タイプ1. 最上階に住む。賃貸住宅は下階につくる

周辺が建て込んでいる場所に適しています。
自宅は日当りや景観の良さがある最上階につくります。
最上階は斜線の範囲内で天井の高い魅力的な空間づくりが出来ます。
接道条件によっては、下階の賃貸住宅は道路から直接アプローチするタウンハウス(長屋形式)のような独立性のある賃貸住宅も可能です。
 

タイプ2. 接地階(1階)に住む。賃貸住宅は上階に計画する

用途地域が住宅系の建蔽率の低い地域に適しています。
自宅は地上の庭と一体的につくる事が出来ます。
賃貸部は、自宅庭に視線がいかないような配慮しつつ空に向かって開放的につくる事が出来ます。
 

タイプ3. 接地階(1階)に住む。賃貸住宅は並列してつくる

用途地域が住宅系の建蔽率の低い地域に適しています。
2階建て木造等の小規模な建物に適しています。
タイプ1とタイプ2の良さを生かしながら計画出来ます。

賃貸併用住宅でも住宅ローンを借りることはできるのでしょうか?

 
可能です。
ただし住宅ローンは、個人の住宅を建てることが前提のローンです。
住宅ローンを利用するためには自宅部分の面積を50%以上とし、賃貸住宅を自宅の面積より小さく計画しなければなりません。
 
結果的に賃貸住宅としては小規模な建物になります。
敷地の大きさによっては、敷地の有効活用できず集合住宅としての収益性などを考えるとハードルが高いようです。

「経堂の賃貸併用住宅」で工夫した点を教えて下さい

 
<タイプ1. 最上階に住む。賃貸住宅は下階につくる。>の例です。
オーナー住宅と15戸の賃貸住宅からなる3階建ての集合住宅です。
敷地は世田谷区の小田急線経堂駅から近く商店街から一歩入った場所にあります。
 
オーナー住宅は最上階に配置しました。
法規上の斜線の範囲内で出来るだけ高い天井の部屋としました。
最上階のため周囲からのプライバシーが確保しやすいため、オーナー住宅の居間や風呂は、土を入れ緑化した屋上テラスに開放的に面しています。
 
賃貸住宅一部は道路に面しているため、道路より直接アプローチできる独立性の高い賃貸住宅(長屋として計画)としています。
将来その賃貸住宅部を店舗として用途変更した場合もテナント収入が見込めるつくり方です。

「奥沢の賃貸併用住宅」で工夫した点を教えて下さい

 
<タイプ2. 接地階(1階)に住む。賃貸住宅は上階に計画する。>の例です。
オーナー住宅と3戸の賃貸住宅からなる小規模な2階建ての建物です。
敷地は世田谷区の比較的低層住宅の多い地域にあります。
 
オーナー住宅は庭と一体の空間となる1階に配置しました。
オーナー住宅と賃貸住宅の入口は別々とし、可能な限り分離して計画しました。

「茶室のある家(木造の賃貸併用住宅)で工夫した点を教えてください

 
<タイプ3. 接地階(1階)に住む。賃貸住宅は並列してつくる。>の例です。
オーナー住宅と2戸の賃貸住宅が並列する木造2階建ての建物です。
 
敷地は世田谷区下北沢の低層住宅が多い地域にあります。
敷地には元々広い庭があったためオーナー住宅は庭と一体の空間としてつくり、1階2階の両方から庭を楽しめるよう考慮しました。
趣味の茶道のための茶室を庭に面した1階に設け、待ち合いやにじり口を設けています。
 
賃貸住宅は将来の収入確保のためにオーナー宅と並列で1、2階に計画しました。
オーナー住宅と賃貸住宅は、上下階では接せずに並列としたのは生活音や視線の分離をはかるためです。
 
また木造であることから遮音には特に注意しました。
オーナー住宅と賃貸住宅とが接する壁は二重とし、遮音シートをはさみ込んでいます。
また上下に接する賃貸住宅の2階の床には厚いコンクリートの平板を敷いて遮音効果を高めています。

賃貸併用住宅を手がける業者の中には 一括借上げを行う会社もあるようですが、 一括借上のメリット・デメリットを教えて下さい

 
一括借上げをあまりお勧めできません。
その会社が信頼出来るのか、また将来借上げ条件を変える可能性はないかなど疑問の残るところです。
賃貸住宅が入る事による不動産管理上の煩わしさは軽減しますが、収入も減る事になります。
 
一括借上げではなく賃貸募集を依頼する不動産会社に部分的な管理だけ依頼するのが良いと思います。
不動産会社との管理契約において管理条件は変更が容易です。

賃貸併用住宅は相続税対策になると聞いたのですが、どういうことでしょうか?

 
一般的に金融機関からローン等で資金を融資してもらうとそれは借金という負の資産となり相続税は軽減されるはずです。
また同じ建物でもご自分の住宅部と賃貸部は分けて賃貸部は事業資産としておく事も可能で、相続税に違いがあります。また賃貸部をご自分がつくった法人(会社)の名義にする方法もあると思います。

賃貸併用住宅の資金計画や事業計画も 相談に乗っていただけるのでしょうか?

 
建物を提案する時は建設コストや予想家賃収入を見込んだ利回り計算はいつも行っています。
(融資機関からのローン金額も計算します。)
事業をする前提であればこうした試算表づくりの計算は無料でおこないます。
 
金融機関はこの試算表と概略プランがあれば相談にのってくれます。
計画がうまくいきそうだと判断できる段階で設計依頼をしていただければ結構です。

賃貸併用住宅を建てたい方になにかアドバイスがあればお願いします

 
ご自宅の土地など金融機関に担保となるものがある場合、計画はスムーズにすすめられます。
土地から探して実現する場合は、金融機関が承諾する何らかの担保は必要になります。
 
賃貸併用住宅に限らず建築の計画は、建物の竣工まで大変労力のかかる一大事業です。
事業のゴールを目指しががんばってください。

賃貸併用住宅をハウスメーカーや工務店でなく貴社に依頼するメリットを 教えてください

 
私どもはそれぞれの敷地や条件にあった最良の建物プランを提案出来ます。
木造、鉄骨造、RC造のどの方式も可能です。最適な構造方式を提案します。
ハウスメーカーなどの独自の構造形式を押し付けません。

また設計後に選ぶ施工会社は競争見積で選択します。施
工中も施主の代理人として工事会社を監理します。
設計料がかかって工事費とは別の余分な持ち出しになるように感じられるかもしれませんが、トータルな建設コスト(設計料+工事費)はハウスメーカーに依頼するより10%くらいは安くなるようです。
 
私ども設計者は施工会社の工事コストを厳しくチェックします。
依頼主のために業務を行います。

貴社に設計依頼可能なエリアを教えてください

 
東京、神奈川、千葉、埼玉です。

株式会社ユミラ建築設計室 弓良一雄さんの賃貸併用住宅・設計事例

  

画像 建物の名称 紹介文
屋上庭園の住宅

屋上庭園
3階屋上にフレームを設置し、格子手摺やワイヤーを取付けて立体的な緑化を出来るようにしています。床のコンクリートで大きな植栽升をつくり客土を施しました。

奥沢の賃貸併用住宅

オーナー住宅と3戸の賃貸住宅からなる集合住宅です。周囲からのプラーバシーを保った良好な環境をつくるため、隣地との間に昔風な板塀をアレンジして、半透明のポリカボネード板とスチールで現代的な表情の板塀をつくりました。ポリカボネート板が外部との間のプライバシーを守り、風通しや採光が確保できます。

沼袋の賃貸併用二世帯住宅

タウンハウス(長屋)形式のワンルームマンションです。玄関にはそれぞれが専用庭を持ちます。内部の仕上はコンクリート打放しとし、浴室などの水廻りはガラス貼として開放感のある空間をつくります。

茶室のある家(木造の賃貸併用住宅)

オーナーの希望は南の庭からの光を十分取入れ、庭と一体になる住まい方ができる住宅でした。庭に面して8帖の広間の茶室を中心に動線を組立てました。賃貸住宅は北側の道路より直接アプローチでき、相互のプライバシーが完全に確保できます。本格的な茶室をつくりました。

経堂の賃貸併用住宅

オーナー住宅と15戸の賃貸住宅からなる集合住宅です。

併用住宅・メニュー

  

併用住宅で住宅ローンの支払を楽にする
落ち着いて治療を受けられる整骨院併用住宅・加藤淳一建築設計事務所 加藤淳一さん
安心して医療を受けられる居心地の良い医院併用住宅・時空間計画 田代輝久さん
プライベートゾーンとパブリックゾーンが明確に区分された医院併用住宅・株式会社入船設計 入船重光さん
地域や環境に配慮した自由度とデザイン性の高い医院併用住宅・かわつひろし建築工房 川津悠嗣さん
客動線とオーナーの動線を分けたエステ併用住宅・スピカ建築工房 一級建築士事務所 滝川 良子さん
土地の有効活用につながる賃貸併用住宅・株式会社a.m.a design 建築設計事務所 朝倉 元
ターゲットユーザーに訴求するレストラン併用住宅・(有)プラス建築設計 黒田乃武仁さん
お客様がリラックスできるネイルサロン併用住宅・有限会社 山梨一正建築設計事務所 山梨正臣さん
土地や条件に最適なプランの賃貸併用住宅・株式会社Fit建築設計事務所 藤井将さん
住宅部分との動線分け、エリア分けされた併用住宅・芦田成人 建築設計事務所 蘆田 成人さん
住環境と事業部分の集客性・作業性を確保した併用住宅・アトリエ スプリング 一級建築士事務所 石原 潔さん
患者さんの緊張感を和らげる歯科診療室のある医院併用住宅・更田邦彦建築研究所 更田邦彦さん
無垢の木などの自然な素材を使い、時代に左右されない美しさの整骨院併用住宅・タイラ ヤスヒロ建築設計事務所 平 泰博さん
プラスアルファの豊かさのある工場併用住宅・黒川智之建築設計事務所 黒川智之さん
併用住宅が得意な建築家一覧
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