O邸 ―ミニコンサートホールのある家―
ミニコンサートホールともいえる多目的室。木造のパネルを折り曲げて折板構造として、木で優しく包む空間を創った。床の際に照明を仕込み、折板をライトアップする。照明計画は戸恒氏お願いした。戸恒氏は後にスカイツリーの照明を担当。
施主は、友人の建築家に設計を頼み施工者も決まり着工寸前まで進んでいた。設計内容は施主の希望をすべて満たしていたが、結果としての建築空間に納得できないものを感じていたようで、週末に意見を聞きに来た。いくつか改善提案をすると喜んで帰り、また次の週末改善を求めて来た。このようなことがひと月ほど続いた後、すべてキャンセルしたのでゼロから設計してほしいと依頼された。
建築家としての経歴と実績を知っていて意見をききに来訪し、改善提案の内容に納得した事が決めてと思います。
「木の良さを生かしたい」、「友人たちと演奏を楽しみたい」、「将来は2世帯住も可としたい」ということが施主の希望であった。ゼロからやり直すという依頼であったので、使い勝手のケーススタディから始め30案近く作成して機能的整理をした。そのうえで魅力ある建築空間を実現するため、折板構造でミニコンサートホールを包み込むというアイデアを提案した。照明計画は後にスカイツリーの照明を担当した戸恒氏。
「朝起きると幸せを感じる家」という嬉しい評価をいただいた。
ミニコンサートホールとなる多目的室の見上げ
演奏の音が外に漏れない様に折板の面には構造材、断熱材に加えて厚い石膏ボードも入れてある。壁と天井は全てシナ合板で一体感と柔らかな質感を目指した。
ミニコンサートホール西面
西面や階段下の建具は閉めると目地のみの壁面となり、空間の質を上げている。
居間
正面の造り付け収納にはエアコンが隠されている。納まりは弊社の特別仕様で使用時にはワンタッチで吹き出しと吸い込みのスリットが開き、美しくかつ機能的に使用できる。横の扉はガマ貼り。
居間の開口部
LDKの開口部。建具を開くと床と天井がフラットに外に伸びる。開口部には障子、ブラインド、硝子戸、網戸が備えられ、季節や状況に応じて室内環境をコントロールできる。
片持ち梁構造の階段
手摺は手作りの鍛造。スチールなのに握り心地が暖かい。
ダイニングと厨房
階段がオブジェの役割も果たしている。障子は造り付けの照明。
庭を眺める浴室
ガラス間仕切りで、浴室と洗面は一体的に広さを感じる。
主寝室
壁に埋込み照明、天井はガマを貼った垂木天井
駐車スペースからのアプローチ
折版構造の屋根が折れ曲がってミニコンサートホールを包み込む。
透明FRPで造った軽やかな門。門の手前には郵便ポストがあり、室内から取ることが出来る。このポストにも遮音の工夫がしてある。
コンセプトスケッチと模型
構造用合板と垂木で面剛性のあるパネルユニットを造り、折り曲げて折板構造としミニコンサートホールを包み込む。吹抜き空間以外は原則在来工法である
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