ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

建物は引き渡し後に建築家の手を離れますが、数年して現地を訪問すると竣工時では感じなかった感動の場面にしばしば出会います。多くの場合、引き渡し後に設置される家具や小物の選定、植栽にまで口を挟むことができませんが、依頼者の素晴らしいセンスと慎重な選択で選ばれ、配置された家具や小物類を見ると、クライアントの建物に対する愛が感じられます。
建物はやはりカンバスで、クライアントが完成させるのだ、ということに気付かされます。

テラス 大開口 静物を置いていただいた。

バルコニーにそっと静物を置く。数、大きさ、距離感がすばらしい。

本箱を生花や静物の展示棚として活用していただきました。

本箱として設計した棚ですが、生花や静物のセンスの良い展示台に変わっていました。

ユーザー 株式会社ヨシダデザインワークショップ 吉田明弘 の写真

「わかたけの杜」内の24時間在宅療養支援診療所「サンメディカルクリニック青葉」の待合室です。
背後にある横浜市の保存樹林(成瀬の尾根)を取り込む形で住宅街とは思えない環境を実現しました。夏は鬱蒼とした緑が壁面いっぱいに広がります。以前私が設計したYKK健康管理センター http://yoshida-dw.com/ydw/YKK-Health_center.html で、積極的に患者に自然「森」を見せることによる心理的な効果「緑が望める病室では患者の治りが早い」(※Ulrichの調査 View through a window may influence recovery from surgery.)を考えましたが、今回も意識の中にありました。通常は入り口近くに待合を設けますが、奥に設けることを了解していただいた「楓の風グループ」理事の野島様のコンセプトに対する多大なご理解と、設計をご担当された健康設計井上康さんの手腕に感謝です。一般外来も行ってますので、お近くの方は是非ご利用ください。
http://san-medical.com/aoba_clinic/san_aoba/Welcome.html

ハートホーム平川

●設計事例の所在地: 
山口県山口市
●面積(坪): 
1454.00
●建物の種類(大分類): 
医療・福祉施設
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

中庭
広すぎず、狭すぎず。丁度良い広さの中庭です。空壁と緑、気持ちの良い空間です。上層階も凹部には中庭を見下ろすテラスがあります。

撮影:北嶋俊治

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

計画前に依頼者が悩んでいたことは、
「敷地内に農業用水が横断していることから、建物を2棟にしなければならないが、管理上分棟化ししたくない。」
「日本中どこも高齢者施設は施設然とした建物ばかりです。もっと入居したくなるデザインの良い施設にして欲しい。」
「デイサービスとケアハウス双方が独立しつつも、管理者側にも配慮した施設にして欲しい。」
といったご要望がありました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

依頼者の知人から、「希望を叶えられる建築家に設計して欲しい」とのご要望があり、依頼していただきました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

山口市内に建てたケアハウス、グループホーム、デイサービスステーションの複合建築物です。私自身の以降の高齢者施設設計の原点となるアイデアが詰まっています。敷地が農業用水で分断されていたことから、行政と水利権者への説明会を開いて移動させるとこができました。これにかかる申請業務も私達で行いまいした。
 9名がそれぞれの個室を持ち、リビング・キッチン・浴室を共用する形式をケアユニットと言いますが、この施設ではケアハウスが6ユニット、グループホームは2ユニットあり、高齢者施設とは言っても、大家族の集合住宅と言うこともできます。ここでは、2つの中庭に「水」と「緑」をテーマとして与え、外に出歩くことが難しい高齢者に対して、居ながらにして自然の恩恵が受けられるうようにしています。
 中央の水の中庭は3層吹き抜けは、中央で食堂と水の中庭をサッシで仕切ることで、外部と内部がシンクロし、同時に上層階の気配が伝わる空間を作り出しています。高齢者にとって個室の外は「都市」であり、一歩廊下に出れば刺激に満ちた活力を感じるよう配慮されています。
 中庭と個室の関係や小テラスと居室の関係、きめ細かな収納計画など、住宅に必要なヒューマンスケールのアイデアの積み重ねが、大きな全体の完成度を高めることに成功しました。
 以前の職場であるアプル総合計画事務所で管理建築士・設計総括であった時に東大の大野秀俊教授のご指導のもと設計をいたしました。

依頼者の声: 

完成後にいただいた言葉です。
オープニングセレモニーで、働く介護職員から「こんなに美しい施設で働けるなんて幸せです」と涙ながらに言っていただきたことを今でも忘れられません。
私たちにとって初めての高齢者施設で、依頼者も大丈夫なのかと本心で思われていたかもしれませんが、完成した建物が想像を超えていたようで、「中庭の導入や複雑なプランニングなど、設計時は少し不安だったけれど、完成して初めて建物の良さに感激し、感謝しております。」「中庭と吹き抜けが織りなす空間が素晴らしい。」などお褒めの言葉をいただきました。このように言っていただけたことを大変誇らしく思っております。

その他の画像: 

正面外観
大きな庇が玄関の所在を表しています。複雑な造形は内部の機能の反映でもあります。

撮影:北嶋俊治

アプローチ
ガラスの屋根が連続するアプローチ通路です。
壁は以前はスカスカでしたが、長年の手入れで現在ではつる系植物が繁茂しています。

撮影:北嶋俊治

共用リビング
数名の入居者専用のリビングです。テラスは第二のリビングとしていつも大切にしています。ここでも段差無く出られるアウターリブングとしてのテラスがあります。

撮影:北嶋俊治

1階デイサービス
3層吹き抜けのデイサービスは同じサイズの中庭とサッシで内外が隔てられています。中庭はパーゴラ状の屋根から柔らかい反射光が降りるように工夫されています。室内に居ながらにして外部が感じられる空間です。

撮影:北嶋俊治

1階デイサービス
こちらは2層吹き抜けのデイサービスで、3層吹き抜けのデイとは中庭を挟んで向かい合わせの配置になっています。様々な環境の違うスペースが用意されています。正面玄関に面しているので、地域に開かれたスペースになっています。ピアノが置かれ、コンサートなども開かれます。

撮影:北嶋俊治

デイサービスの中庭は吹き抜けとガラスで隔てられていますが、壁面が内外同じため、一体の空間のように感じます。木デッキと水(池)を交互に配置した庭です。水草と落水の工夫で、マイナスイオンが感じられる中庭にしました。

撮影:北嶋俊治

廊下
中庭と吹き抜けによって、屋外のような明るい廊下です。廊下の窓は大きく開くだけでなく、このように造り付け収納とベンチと一体になった開口が交互に現れるインテリアとすることで、管理上の収納の要請と、少人数で居たいといった高齢者の心理にも答えています。

撮影:北嶋俊治

個室
開口はできるだけ大きくとり、バルコニーと室内が連続するようにしています。天井面はわずかに傾斜させることで、室内が柔らかい印象になるようにしています。

撮影:北嶋俊治

この施設には様々な場所にテラスを設けています。リビングや個室以外のこういった場所は、居住者がお気に入りの場所を見つける楽しみも提供しています。写真向かい側の凹部にもテラスがあります。

撮影:北嶋俊治

建物外観
方位によっては、軒の深さとスクリーンによって日差しをコントロールしています。外観の特徴になっているパネルは細かい穴の空いたアルミの板で、使用量が多いことから既製品の値段で、開口率を理想的にした特注品をつくりました。下部の列柱部分は先に説明した緑のアプトーチ回廊です。居住施設であることから正面から回り込む「路地」のようなアプローチにしました。

撮影:北嶋俊治

フロイデ彦島(ケアハウス、グループホーム、デイサービスステーション)

●設計事例の所在地: 
山口県下関市彦島
●面積(坪): 
1483.34
●建物の種類(大分類): 
医療・福祉施設
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

海側から望む外観
海に面した傾斜地に建ちます。当初クライアントは写真右側の平地で高層の建物を予想していましたが、景観や周辺住宅街(背後にあります)に配慮した低層建物を提案し了承いただきました。基礎構造で難工事となりましたが、この種の施設では稀に見る景観に調和した美しい建物になりました。
撮影:北嶋俊治

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

敷地が海岸沿いの大変起伏に富んだ複雑な形状で、わたくし達がお仕事をいただく前に大手建設会社が検討した結果、最高所の平地に高層で建てる提案が出てきたそうです。「それでは周囲の隣接する住宅への影響や景観上好ましくない」と感じていたようです。また、敷地内にプライベートビーチがあり、絶好の条件を最大限生かすことができる設計者を求めていました。
この種の施設は「これまでどの高齢者施設も、いかにも施設的な建物が多く、高齢者やご家族が本当に良い空間で静かな時間を過ごしせる空間をつくりたい。」と、この地の高齢者福祉の牽引者としての依頼者の強い理想がありました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

一部の平地を最大限利用した、他社が作成した高層の基本構想案に対して、分棟化によって低層かつ敷地のポテンシャルを最大限に取り込んだ私どもの案に大変感激していただき、採用が決まりました。また、お声がけいただく前にわたくし達の設計した「ハートホーム平川」のオープニングに来ていただき、「この設計者なら素晴らしい建物を建ててくれる。」と感じたことから呼んでいただきました。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

フロイデ彦島はグループホーム(18室2ユニット)とケア付き老人ホーム(個室48室6ユニット、内2室が夫婦対応)の居住施設に、地域施設(デイサービスセンター、地域交流スペース)を複合させた施設です。施設は起伏に富んだ傾斜地に建ち、高層化を避けるために2棟に分棟化して渡り廊下で結んだ構成になっています。私たちの工夫は、外出が少ない高齢者が都市のような穏やかな刺激を居ながらにして感じられるようにるすため、「見る、見られる関係」や「気配が伝わる構成」を重視し、平面構成において、3箇所の中庭からリビングを通して個室に至る二重の入れ子構造にしました。外観は、建物を周囲の住宅地に対して圧迫感のない低層とし、通風と採光に配慮した4つの特色ある中庭を設け、その中庭と共用室を赤い壁で取り囲み、その外壁に白い個室空間が取り巻く構成とした。中庭を透かして他の赤い壁の中にいる人の様子や話し声が伝わり、穿たれた開口を通して海の気配を感じ、どこにいても入居者が視覚的、心理的に人と自然の両方の気配が感じられる場が現出している。バルコニーの一部には白い布が張られ、外部に対して白い帆のように見え、人の住まいの在処を示しています。

2007年BCS賞(建築業協会賞)
2007年 医療福祉建築賞2007

依頼者の声: 

多くの建築賞に輝いた本施設は、身にあまるお褒めの言葉をいただきました。
まず「このような敷地にこんな建物が建つんですね。」といった驚きの言葉です。園芸やインテリアに大変センスのある依頼者でしたので、「家具や絵、小物のレイアウトや外部の造園が大変楽しい」と言って、竣工後大切に使っていただいています。行く度に思うのが、建築は依頼者が完成させるということです。竣工後何もない状態ではいくらでも良い写真は撮れますが、この建物は引き渡し後に、の依頼者の「使い方(住まい方の)のセンス」によって益々良い建物に成長していることから、いかに愛していただけているかがわかります。これは声にならない喜びの現れでもあります。

その他の画像: 

1階食堂です。
赤い壁は共用の領域と中庭を囲み、人々がハレの空間に入る領域を暗示しています。色の使用は大変勇気がいることですが、現場での度重なるサンプルチェックの結果レンガ系の赤(茶色に近いレンガの色です)で落ち着きました。中庭は3箇所かり、相互に屋内と屋外の視線がシンクロすることで、内部に居ながら外部のような感覚になると同時に自然の恩恵を受ける場所となります。吹き抜け部分と低い天井、中庭が複雑に貫入することで豊かな空間を作り出しています。
撮影:北嶋俊治

共用リビングです。
中庭に面したフルハイトサッシから光が降り注ぐ明るい空間です。特注のアイランドキッチンは家具を解放することで軽快に見せると同時に、椅子を使った作業(高齢者対応)も可能です。赤い壁は実はレンガ色です。実際は大変落ちつた赤煉瓦の印象です。
撮影:北嶋俊治

船のマストの素材でつくられたスクリーンを持つバルコニーベンチです。マンションなどの多くのバルコニーは「汚い場所に降りる」「わざわざ出る」感覚があります。私はバルコニーは用が無くても出たくなる場所であるべきと常に思っています。物干し以外に、段差なしでバルコニーと連続した居室から素足で出たくなる場所にしました。そのためには静かに佇めるベンチを提案し、外観は人の生活の所在を感じさせる装置となります。
撮影:北嶋俊治

共用リビング
数名の入居者ごとに1箇所用意した共用リビングです。お大きな建物ですが、住宅スケールの吹き抜けもそこかしこに用意されています。基準階といった繰り返しではなく、各住戸それぞれの空間の豊かさが必要です。上の階と下の階の気配が伝わり、コミュニケーションを誘発します。
撮影:北嶋俊治

個室内部
バルコニーは室内と連続させるべきであるといつも考えています。狭い部屋も広く感じられ、植物などを置けば室内にその変化が入り込み、季節のうつろいが感じられます。この写真でバルコニーと室内が連続した状態がよくわかります。
撮影:北嶋俊治

外観
各個室のバルコニーにヨットの帆の素材を使ったスクリーンがあります。バルコニー側はベンチになっています。海に近い施設をより印象深いものにしています。また、スクリーンのリズミカルな印象は複雑な建物形状に調和を与えています。

撮影:北嶋俊治

住戸の一つに設けた専用の中庭。
室内はそのまま外部に連続するようにしました。正面に木のルーバーを配置して外からの視線をカットし、現在はつる系植物が繁茂しています。小さな中庭を効果的に配置することは私どもが得意とする手法です。
撮影:北嶋俊治

住戸の一つに設けた和室。
村野藤吾による茶室の写しです。床と同面の広めの床に生花などを置くと空気が引き締まった上質の和空間となります。

撮影:北嶋俊治

デイサービスの機能回復訓練室です。大部屋とせず、大空間から小空間まで、必要に応じて複数の部屋を繋げることができるように可動間仕切りを設けています。海に面した回j後部は低い位置にベンチを設け、強風時も下から換気ができるようにしています。ここから入った風は中庭に抜けていきます。

撮影:北嶋俊治

デイサービスの浴室です。特殊浴槽も同様の低い間仕切りで隔てられ、プライバシーに配慮しつつ、介助者の使い勝手にも配慮しています。大きな窓から海が望めます。入浴を楽しみの時間にしていただく工夫です。

撮影:北嶋俊治

YKK健康管理センター(診療所)

●設計事例の所在地: 
富山県黒部市
●面積(坪): 
296
●建物の種類(大分類): 
医療・福祉施設
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

森側外観
診療室の大きな開口に対してプライバシーを守るための装置として、木製スクリーンがあります。杉板を交互に弓なりに貼った板塀は、正面から内部は見えませんが、斜めに見ると撓んだ板の間に隙間があり風を通します。片流れの白い屋根は部屋の要所に配置され、内部に光を届けると同時に、外観にリズムを与えています。今は内外が森に覆われています。

撮影:吉田明弘

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

敷地を森に再生するプロジェクトの中にあり、診療所機能というプライバシーが尊重される空間に対して、森の存在をどのように共存させて行くかが大きなテーマでした。また、年月とともに森に覆われ、建物自体がそれに合わせて魅力が増していくような仕上げやデザインが求められました。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

以前から同じ企業の施設を私どもが設計し、建築賞など社会的な評価をいただいてまいりましたことに対して、大変信頼していただいております。そのことから、引き続きご依頼いただきまました。
わたくし達は、良い仕事に対してその後2度3度お仕事をいただくことがよくあります。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

富山県黒部市にある企業診療所です。
地球環境への貢献として、何もない工場跡地に苗木から育てた木を植樹し、地域の本来の自然の姿である森を復元する広大な緑地(一部はYKKセンターパークとして一般公開)の中にこの建物は建っています。建物の西側に芝生による広大なオープンスペースを設け、「森」との境界線となる北から東にL型に連なる壁面を施設の壁面とすることでランドスケープと一体化された建築となることを意図しました。外壁面は時間と共に雑草が生えて錆びていく(自然と同化する)事を意図したRCラス捨て型枠打放しによる荒々しい仕上げ面で構成し、一方屋根面は内部機能を反映した凸形状を持つ白くて薄い板として軽快に浮かばせ、両者の隙間から採光をとることで、軽快で印象的な内部空間を作り出しました。
 このプロジェクトでは森の中に建築を建てるのではなく、建築のまわりが将来森となり、建物が森の中に埋没する。と言った数十年に及ぶ長い時間軸を想定してランドスケープを含めた建築デザインを考えていきました。この施設の機能である診療所という性格上から、芝生広場に対しては閉じ、一方、背後の森に対しては開いた表情となっています。一般に診療室はプライバシーの問題から外が見えない造りとなりますが、ここでは積極的に患者に自然を見せることによる心理的な効果「緑が望める病室では患者の治りが早い」(※Ulrichの調査)をテーマとして、診療室で医師の診断を受ける時に視界に樹々の緑が入るよう大開口としました。プライバシーへの配慮として、診察室の外部に森を杉を編んだ塀で仕切ることで安心して診察が受けられるようにしました。
 「壊さない時代」を迎えていますが、我々建築家はとかく長寿命化のための技術的な側面に着目しがちです。建築が周辺の環境も含めた時間の中で年老いても環境に調和して生きながらえ、更に一番大切な事はそんな中でもある種の新鮮さを失わない事、は今後私たちが考えて行くべき課題であると考えています。

 ここで試みた、光と影、自然建築の関係、などの普遍的なテーマは住宅にこそ発揮されるものと考えています。待合室や診療室はそのままリビングに置き換えることが可能です。

2008年度グッドデザイン賞、2010年日本建築学会作品選奨 、第8回環境・設備デザイン賞入賞作品

※Roger,S.Ulrich,1984,View through a win-dow may influence recovery from surgery,Science, 224:420-421(April 27)

依頼者の声: 

依頼者からは多くのお褒めをいただきました。
「森との調和と診療室への緑の導入はこの種の医療施設としては革新的です。」
「時間とともに味わいを増すメタルラス打ち放しの外観の今後が楽しみです。」
「多くの建築賞を受賞し、大変誇りに感じています。」
「内部で隙間から漏れる光が神聖な感じがして好きです。」
など、竣工後にご担当されていた方や、働いている方から大変うれしいご意見をいただきています。

その他の画像: 

入り口正面
メッシュ型枠による独特の外観。我々が開発した新しい仕上げで、時が経つと錆が浮き出て建物の外壁を赤茶に染めていきます。時間の経過とともに味わいが増す仕上げです。
薄くて白い屋根はわずかに壁から切り離されて浮いています。隙間から光が入り室内に光と影の空間を作り出します。

撮影:北嶋俊治

待合室
施設の機能上低い位置に大きな開口はつくれませんが、計算された屋根の隙間に設けた開口から教会のような印象的な光が入る空間です。開口と柱のコンポジションには「和」的な感覚を意識しています。

撮影:北嶋俊治

歯科診療室
将来は正面が森となり、プライバシーが保たれた空間です。緑を見ながら治療を受けることができます。片流れの屋根を要所に配置することで空間に陰影が生まれ、空間に変化を与えています。半透明のパーティションも空間を閉鎖的に感じさせないようにデザインいたしました。

撮影:北嶋俊治

診察室
片流れ屋根による大きな開口のある診療室です。通常診療室は閉鎖的な造りが一般的ですが、ここでは緑を見ながら治療をすることで回復が早くなる効果を期待しています。将来は窓の外は森で覆われます。このような手法は、壁面緑化スクリーンなどの手法を応用すれば都市部でも可能です。

撮影:北嶋俊治

職員休憩室
メッシュ型枠による外壁が室内に貫入しています。屋根の形状と壁が織りなす光の絶妙な制御はどこか和的な印象を与えます。季節や日の角度によって空間の印象が変わる「光と影」は、私どものデザインテーマとなっております。

撮影:吉田明弘

ハートホーム宮野

●設計事例の所在地: 
山口県山口市
●面積(坪): 
1174.4
●建物の種類(大分類): 
医療・福祉施設
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

サービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホーム、ショートステイの複合建築です。木造耐火建築物でありながら外壁に木ルーバーをつかっています。トイや配管、屋外機などを隠す機能もあります。白い横ストライプ状のサイディングはサイディング特有の目地を隠し、フラットでミニマムな壁面に見えます。ルーバーの繊細さとミニマムな白壁のコントラストによるモダンな外観が特長です。

撮影:北嶋俊治

建てる前に依頼者が悩んでいた事・ご希望: 

敷地は交通量の多い道路に挟まれた変形旗竿地で、既存高齢者福祉施設を撤去することなく建設する必要があった。変形地で1フロアにケアユニット(9室+リビング)を3ユニット配置することが可能なのかどうかご心配されていた。また、規模が大変大きくなるが、環境問題への法人の配慮として、地場産の木材を利用した木造建築を希望されていた。

依頼者があなたに依頼した決め手: 

過去に同じ法人の施設「ハートホーム平川」を魅力的なデザインと運営に配慮した設計によって、大きな信頼をいただいており、引き続きお声掛けいただいた。

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

「ハートホーム宮野」はサービス付き高齢者住宅、特別養護老人ホーム、ショートステイの機能を持つ高齢者住宅の複合建築です。お施主様の強い希望で、通常はRC造でつる規模の施設をあえて木造によって実現することで、二酸化炭素の固形化による環境への貢献を行いたいという依頼者の強いご希望に対し、国庫補助への申請を勧め、国土交通省による木のまち整備促進事業補助金事業による国庫補助に選定され、木造軸組耐火構造にとしては国内最大の規模で実現しました。
◯雁行平面:大きな建物ですが、ボードで隠されてしまう耐火木造の欠点を補うために、雁行した平面を採用することで書院建築に似た木造らしい空間構成をつくりました。また、隣接する建物の間に三角形の程よい距離と変化に富んだ外観を作り出しています。
◯外壁は白のリブ付きサイディングとすることで、目地を消しフラットな面に対し、窓の面する壁を木製ルーバーとすることで、モダンで引き締まった外観としました。開口部周りは彫りの深いダークグレーの大枠がアクセントとなり、ここにプランターを置くことができます。
◯中庭と色:低層にしたことで階ごとの面積がお大きくなりました。そこで、光と風を取り込む3箇所の中庭を設け、中庭に面する外壁を歌舞伎の緞帳色(黒・オレンジ・緑)とすることで、それとなく「和」が感じられるようにしました。これらの色は植栽とも相性が良く、現在は育った植栽から色が垣間見える理想的な状態になっています。
◯内装:床を全て畳風のシート貼りとし、要所に木製のモダンな障子によって視線が見え隠れするようにしたことで、外部の色と相まって透明間のあるモダン和風のインテリアとしました。要所に設けた作り付け家具はインテリアと一体化したデザインとしています。
◯光と影:吹き抜けなどダイナミックな建築空間が無くても良い空間はつくれます。上記の工夫によって太コントロールされた太陽光が室内を豊かに照らしだし、ています。複雑な平面が陰影と奥行き感を生み出しています。

依頼者の声: 

変形旗竿地に3000㎡超えを木造で建てるといった困難を完結した私たちの設計に対し、「木の質感を表に出すことができない木造耐火建築に対して、意匠的に解決をしていただいたおかげで、大変満足している。」「とくに変形地に対して、雁行平面や中庭による卓越したプランニングによって大変魅力的な内部空間を実現していただき感謝しております。」といったお言葉をいただきました。メディアなどにも取り上げられ、他の法人の見学者も多く、誇りに思っていただいております。

その他の画像: 

◯中庭に面した3階テラス
高齢者が手軽に自然を感じられるように。そこかしこにテラスを設けています。テラスの効果的な配置は私のデザインの特徴でもあります。

撮影:北嶋俊治

◯窓側の外壁
木ルーバーの外壁が雁行した壁面によって連続しています。雁行平面によって生まれる三角形の空地は隣接する建物との間の圧迫感を和らげるとともに、建物の大きさを小さく見せることで周辺環境にも配慮したものです。
これだけ大規模な施設で外部を木ルーバーで覆うことは稀ですが、コンクリートとと違う魅力があります。木は経年変化グレーに変わりますがその変化でより美しさを増していくように考えています。
撮影:北嶋俊治

◯中庭
一方、中庭には色があります。日本の伝統色で歌舞伎の緞帳につかわれている、オレンジ、黒、緑を使うことで、モダンと伝統を融合させる、普段あまり外に出歩けない高齢者のために光や風や緑による自然の恩恵とともに、視覚的に豊かな環境を作り出しています。これらの3色は植栽された緑との相性もよく、現在では写真より繁茂して、緑の合間から色が見える状態になっています。

撮影:北嶋俊治

◯障子スクリーン
廊下とリビングを隔てる障子のスクリーンです。気配を伝えつつ、領域を穏やかに隔てるものです。

撮影:北嶋俊治

◯リビング
中庭のオレンジ色反射した太陽光が穏やかに空間を包みます。木製の照明器具や家具もインテリアに合わせて選定しました。床は畳風のシートを敷き詰め、モダンでありながら和風のテイストが感じられるインテリアとなっています。

撮影:北嶋俊治

◯ラウンジ
ラウンジの一角に入れ子状の空間をつくりました。障子と木ルーバーで完全に閉じることもできます。ルーバーの裏にはお茶を用意できる小さな流しや収納もあります。
大きな部屋に入れ子の箱とテラスを配置することで、用途の多様化とともに空間に変化を与えています。吹き抜けなどの開放的な空間が無くても、このように魅力的な空間をつくることができます。

撮影:吉田明弘

ユーザー 株式会社スタジオ・ノア 森 信人 の写真

住宅にルーバーをよく見かけます。
目隠ししながら風通しを確保する役目ですが、たいていは木に茶色や黒の防腐剤を塗ったものですね。毎年塗っても5年もすれば作り直しする場合もあるでしょう。
なにかメンテナンスフリーで安い素材がないものか考えて発明したのが、皆さんショルダーバッグなどでおなじみのベルトでした。

何種類ものサンプルを取り寄せ、事務所のバルコニーで雨ざらしにし劣化、退色、伸縮などを実験。アルバイトの学生を呼んで当社で施工まで行ったのを思い出します。
温度変化でたるまないように常にテンションをかけた取り付け方法も工夫しました。
おそらく「世界初」と自負しています。
風が吹くとゆらゆら揺れ、「風をデザイン」した瞬間でした。

2世帯の家

●設計事例の所在地: 
沖縄県八重瀬町
●面積(坪): 
35坪
●建物の種類(大分類): 
住宅関連
●メインの画像: 
●メイン画像の説明文: 

RC造2階建ての2世帯住宅

●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など): 

世帯を1階と2階に分け、外階段タイプの2世帯住宅です。プライバシーの確保が重要でした。

その他の画像: 
ユーザー 大島功市建築研究所 一級建築士事務所 大島功市 の写真

■中根1622ビル(仮称)計画物件にアップ
■菅谷の家敷地境界杭が打ち込まれました
■渋谷の家一年点検での直し工事完了
■国分寺市本町2丁目計画アップ

I-0365、解体工事、造成工事を含めてリーズナブルに仕上げる自信のある建築家の方(兵庫県)

ユーザー トムヤム の写真
投稿者: 
現住所‐都道府県: 
兵庫県
現住所‐郡市区町村: 
神戸市
依頼内容: 

古家付の土地は南北に長めのほぼ長方形ですが、一部を除き接道と段差が数メートルまであります。北側接道です。
また土地自体も南に向けて下がっている傾斜地になっています。
現状は接道からコンクリのスロープが作られ道路から10mほど南にある道路面より低い古家まで車が乗り入れられます。
4台分の車庫を持つ大きな基礎の古家が現在ありますが、私はより道路寄りに家を建て、2階に車で直付できるような構造にしたいと思っています。また土地は160坪以上あるため、将来分筆して一部売却する予定です。
周囲の擁壁工事、場合により造成工事も必要になります。
解体工事、造成工事を含めてリーズナブルに仕上げる自信のある建築家の方のご意見を伺いたく存じます。
 
建築家の所在地について:
同じ都道府県・近県の建築家を希望する
 





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