●建物の紹介文(依頼者のお悩み・ご希望を叶えるために工夫した点・採用した建材など):
昭和34年に建てられた木造2階建ての住宅の改修です。我々建築家は新しい建物をつくることはできますが、時間を経た空間をつくることはできません。この住宅の改修にあたり、既存の建物に敬意を払い、丁寧に読み解くことを意識しました。生活を刻み、時を経てきた住宅の空気感をいかに残していくか、をテーマに様々なしつらえを試みました。丁寧にヒアリングを行いこの家屋で過ごされた時間を追体験し、残すもの/残さないものを、観念的な歴史的なるものから、具体的な部位や素材、大きな事柄から細部に至るまで、吟味し一貫した計画を心がけました。その姿勢は、建具の再利用や枠の見せ方、床材など様々な様相を孕んだものとなりました。