段差地にスキップフロアの家
敷地内に段差がある場合、段差に合わせてスキップフロアにすることで造成工事費を減らすことができます。
段差地のスキップフロアの事例として、前田敦さんの設計した「スキップフロアの愛犬家住宅」を紹介します。
スキップフロアの住まい
スキップフロアのメリット
スキップフロアにすることで下記のようなメリットがあります。
- 空間の移動による変化があるので単調さがなくなる
目線がフロアによって変わるので、「ほどよい距離感」を保つことができます。
空間としてはひとつの大きな空間ですが、リビングでくつろいでダイニングで食べるなど、分けて使うことができます。 - 段差にペットスペースを設けることができる
ペットを飼っていないお宅では、収納として活用することができます。 - 斜線制限のある土地では、スキップフロアで制限をクリアできる
普通に家を建てると2階建でも、斜線制限に引っ掛かるケースがあります。
都内は傾斜地が多く斜線制限も厳しいのです。
傾斜がある分多少土地の価格は安くなります。
スキップフロアのデメリット
スキップフロアにすることで下記のようなデメリットがあります。
- 建築費が高くなる
コスト的にはフラットの建物よりも、建築費用が多少高くなるのはデメリットのひとつです。 - 足の悪い人が生活し辛い
移動時に階段をつかうと、足の悪い人には生活し辛くなってしまいます。
段差をスロープで解決することで、デメリットを解消することができます。
スキップフロアで後悔しないために
スキップフロアを最大限に活用するためには、「工夫する」ことが必要不可欠です。
例えば、ホームエレベーターの設置を考える場合、床が抜ける構造体にして収納として活用し、必要に応じてリフォームすることができるように予め設計しておくなど、先々を考えた工夫が必要です。
階段があると足腰が鍛えられるので、後付けできるようにしておくのがポイントです。
スキップフロアのマンション
実はスキップフロアは、マンションでも取り入れることができます。
傾斜地に建つマンションだけではなく、構造体によってはフラットなメゾネットもスキップフロアに変更可能です。
スキップフロアの収納
段差を利用することで、収納スペースを確保することができます。
天井が高いところは、段差を利用して収納を作れば広く使えます。
見えない部分にスッキリ納めるのが大事なポイントです。
スキップフロアの階数
エレベーターを設置しない場合には、基本は4階くらいまでが生活しやすいといえます。
階数が多い場合には、エレベーターを設置するのがお勧めです。
スキップフロアと和室
小上がりの和室もスキップフロアの一種といえます。
車椅子で横付けして座面に移動できるので、実はバリアフリーです。
「段差があるとバリアフリーじゃない」ではなく、「車椅子で移動しやすいのがバリアフリー」です。
スキップフロアと老後
ホームエレベーターやスロープの設置が必要になるケースが多くあります。
子供部屋は、お子さんが独立なさったあとは、趣味の部屋として活用したり、夫婦の寝室を分けたりする方が多くいらっしゃいます。
50代を過ぎると、いびきや生活リズムなどの問題から、夫婦の寝室は別々になることが多いのです。
スキップフロアであれば、程よい距離感を保ちながら、夫婦がそれぞれの生活を楽しむことができます。
段差地にスキップフロアの家の事例
土地の状況
敷地面積: 71.83㎡(21.73坪)
建築面積: 46.99㎡(14.21坪)
延べ面積: 131.42㎡(39.75坪)
構造規模:RC造 3階建[あゆ2]
東京都港区に位置しており、1.4mの段差があり、南と東の2方向に道路がある土地でした。
日照は良かったのですが、敷地には斜線制限がありました。
親御さんの代から受け継いだ土地で古家があり、それを壊して建て替えを行うことに。
既存の擁壁を壊して作り直しましたが、それ以外は土地に関してはお金を掛けていません。
お住いになる家族について
ご夫妻
建築当時小学校6年生の娘さん
犬4頭と金魚とイシガメ
間取り
1階 お嬢さんのお部屋
M1階 主寝室
2階 リビング
M2階 ダイニング/お風呂
3階 オーディオルーム
RFテラス
地下に駐車場を1台分、建ぺい率の関係でもう1台は屋外と、2台分の駐車スペースを確保しています。
ご要望
「ミニチュアダックスフンドと暮らす家」を軸に、旦那さんが趣味のアメフトを観るオーディオルーム、奥様はお人形を飾りたいというご要望がありました。
工夫した点
- ペットに対する工夫
ペットに対するケアは、データがあまりないので工夫した個所です。
ダックスフンドは普通の階段だとヘルニアになってしまうので、緩やかな階段を用意しました。
飼っている犬種に適したサイズを模索するために、段差を降りる際にミニチュアダックスの背中が伸びる高さを計算しています。
更に、M2階と3階の段差には、畳1畳分のドッグスペースを設けており、ゲージが収納できます。
収納の扉はスライド式で、スライドさせると階段を塞ぎ、ダイニング全体をドッグスペースとして使用することができるようになります。
また、「金魚が一番綺麗に見えるのは?」と考えた結果、鯉と一緒で上から見た時の美しさに行きあたりました。
その為、トイレの床を40cm掘り下げて金魚鉢を設置できるようにし、強化ガラスを載せてあります。
金魚をゆっくりと鑑賞できるだけではなく、金魚鉢が照明の役割も担っています。 - 「聖域」を作る
旦那さんのご要望であったオーディオルームは、犬が入ってこない「聖域」です。
全ての空間を犬と共有するのではなく、聖域を設けることで、犬にとっても人にとってもストレスがない住まいを実現しています。
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