道路より高い土地の問題点を地下玄関で解決

 

道路より高い土地の場合、玄関までコンクリート製の外階段で登るようなプランを提案されることがあります。
コンクリート製の外階段は、ころんだ場合に怪我をする可能性も高く、小さいお子さんや高齢者のいる家庭では注意が必要です。
 
そこで、地下玄関を設けることで、道路より高い土地のデメリットを解決した事例として多田祐子さん・多田博さんの設計した北鎌倉の家を紹介します。
 

北鎌倉の家

お施主さんは、文化と自然の共存した北鎌倉の情緒ある街が気に入り、エリアにこだわりを持って土地探しをなさいました。
インターネットで多田さんの手掛けた家をみて、土地探しの段階からお声がけがあったそうです。
 

土地の特徴

この北鎌倉の家は、傾斜地にあります。
道路に面した地階に、玄関と車庫があり、土地が道路より高くなっています。
 
北鎌倉は海が近いので湿気が多く、虫が多いという特徴がありました。
地盤は強固であり、掘削が大変だっただけではなく、こちらの家は元沼地で地下水位が高かったため掘削をした際に地下水が出てきました。
 
さらに、お茶碗のカケラなどが出てきて、埋蔵文化財の調査が必要になり、1ヶ月も工事が中断したそうです。
土地によるリスクの認識をするだけではなく、万が一の事態に備えて、スケジュールに余裕を持つことも、重要なポイントといえます。
 

お住いになる家族の構成

ご主人様
大阪出身の奥様
設計時小学校5年生だったお子様1人

間取り

 
1階
玄関12畳
車庫
趣味部屋(ご主人のギターと本)
 
2階
子供部屋2畳
主寝室5畳
和室3畳(茶室)縁側を足すと6畳位になります
ダイニングキッチンにリビングダイニングは20畳
 
3階
ロフト収納
 

北鎌倉の家・間取り図

地下玄関


西日本は玄関が広い家が「お屋敷」であり、玄関は自分の家の「顔」です。
そのため、「玄関のしつらえにはこだわりたい」というご要望が奥様からありました。
 
普通は地下車庫を作る際には、地下車庫を造成し、その上に建物を建てます。
しかし、地下玄関にすることで、それらにつながりを持たせ、外階段をのぼる手間を省くことができます。
車庫からすぐに玄関にアクセスできるので、動線が良くなり、生活も便利になります。
 
ご要望のあった車庫の横に長い玄関を作ることで、単なる靴を脱ぐ場所である玄関が、階段の下に季節のしつらえを飾って暮らしを豊かにする空間になったのです。
長いアプローチがあることで、来客がワクワクし、胸を躍らせる効果を演出することもできます。
 

地下玄関のメリットとは

斜面に建つ家に地下玄関を作るメリットは何といっても眺望の良さです。
目の前が空くので、眺望が良く日当たりが良いのは嬉しいですね。
また、玄関が地下なので夏は涼しく冬は暖かいです。
そのうえ、地下は気温が一定なので、地下室を作れば収納や食糧庫にピッタリですし、音を遮蔽できるので、外への音漏れが気になる楽器の演奏などにも向いています。
 
さらに、地下は容積率に入らないので、狭小地の場合お金があれば、地下を掘って広さを確保することができます。
 

地下室

地下玄関のデメリットとは

地下玄関を作るためには、コストが掛かってしまいます。
地下玄関は構造体がRC限定になってしまい、木造の2~3倍の建築コストになります。
また、構造的に重いので、地盤補強もしっかりとする必要があります。
 
更に、地下水が酷い場合には、二重壁にして水をよけることもあり、その分お金もかかります。
 
そして、地下は地下水に囲まれているようなものなので住んでからの湿気対策も必要です。
住み始めて2~3年は、コンクリートの性質上特に湿気が多く、乾燥機を掛けておくケースが多くあります。
 

道路より高い土地に家を建てる際に知っておきたいこと

 
日本の国土は山が多く、そこを切り開いていくため、傾斜地や道路より高い・低い土地が多いという特徴があります。
これらの土地は、平地より安く販売されているケースが多くあり、魅力的に感じます。
しかし、既存の擁壁がある土地を購入する場合、「擁壁が使えるか」ということは、コスト面や工期面を考えた際に非常に大切なポイントです。
2メートル以上の擁壁は確認申請が必要になりますので、安全を証明する書類がある土地を選ぶことが重要です。
 

  • 安く土地を購入するには土地を購入する前に調べて、必要な書類を揃えて…。
    安く土地を購入するには、旅行と一緒で、労力と時間を掛けてあげる必要があります。
    例えば、どんなに土地が広く見えても斜線の制限やがけ条例などで、建築することができるボリュームが決まってしまいます。
    変形の土地ほど危険度が高いので、事前の検証が非常に大切なポイントになるのです。
  •  

  • 家を建てるための「チームを作る」
    不動産屋さんは土地取引に関する専門家ですが、傾斜地に家を建てる場合には建築家の知識が必要になります。
    また、資金面ではフィナンシャルプランナーが味方になってくれます。
    建築家と相談をしながら、自分の価値観と向き合って、資金面の計画を考えましょう。
     
    土地の購入から手掛ける場合には、これらの専門家をチームを作ることで、傾斜地などの問題を抱えた土地でも理想の住まいを建てることができます。
     
    安く家を建てるためには、相応の知識が必要になるので、専門家を招聘し、プロジェクトのトップにお施主さんが立ちましょう。

 

その他に工夫した点


鎌倉は、「つま」のない入母屋屋根が多く見られます。
四方に軒ができるため、建物(壁)を保護するだけではなく、雨を遮ったり、日光の調整を行ったりすることができます。
入母屋屋根はこのように、機能的に優れている形状で趣があるデザインが特徴です。
北鎌倉の家も、四方に軒のある入母屋屋根を採用しています。
地下玄関・車庫はRC造ですが、住居部は木造です。
混構造の建物の調和を図るために藤棚を設けてあります。
 

お施主さんのご要望

美しい眺望を活かし、地下玄関・車庫を作るというご要望の他に、茶室や家事動線についてのご要望がありました。
そのため、部屋数は多いですが、子供部屋は2畳、和室(茶室)は3畳と、各部屋はコンパクトになっています。
その代わり勉強コーナーとして活用できるワークスペースをリビングに設け、個人の部屋は寝るだけにしてあります。
 
また、IHを埋込んであるダイニングテーブルは、多田さんのデザインだそうです。
料理をしながら家族の様子を確認することができるだけではなく、広々としたスペースで料理を楽しむことができます。
 

お話を伺った建築家

 

ユーザー 多田建築設計事務所 多田博 の写真
藤沢市湘南台5-1-3-607
0466-42-1793

 
多田祐子さんの手掛ける家は、作品性のある家が多く、いずれも「和の趣」を大切にしています。
「風土に合ったものをいかに美しく作っていくか」ということにこだわり、ピクチャーウインドウを活用し、部屋の中に緑を取り入れ、「自然との共生」を考えながら、空間をデザインしていきます。
 
 
 
しかし、建築基準法や自治体の条例の兼ね合いで、防火地域や準防火地域に指定されていると、軒を出すのに制限が掛かってしまいます。
また、軒を出すと敷地の面積が広くないと、居住部分の面積が狭くなってしまいます。
そのため、都心部や傾斜地では、「日本なのに日本的な家を建てるのが難しい」という問題にぶつかってしまうケースもあるそうです。
 
「和の趣を取り入れた家を建てたい」「安い土地に家を建てたい」とお考えの方は、土地選びの段階から建築家に相談してみましょう。
道路より高い土地や傾斜地を上手に利用して、理想の住まいを建てるためには、建築家・不動産屋など専門的な知識を持ったチームが一丸となって協力することが大切です。
 

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