道路より高い土地に「地下車庫のある家」
道路より高い土地の場合、「駐車場をどうすれば良いか」と悩む方が多くいらっしゃいます。
一般的には、土地の一部分だけを道路と同じ高さまで掘り下げて、そこを駐車場にしたり、掘り込み車庫を作ったりする場合が多いようです。
しかし、その場合には外構工事費が増えることになります。
地下車庫を設けることで、道路より高い土地のデメリットを解決した事例として、三村邦彦設計事務所が設計した、「鎌倉市津西の家」と「藤沢市鵠沼4世帯住宅」をご紹介します。
高低差のある土地のメリット
整形ではない、いびつな形や擁壁が必要な土地は、2~3割程度安くなる傾向にあります。
また、地下室にすると容積率の緩和を受けることができ、場合によっては50%も床面積を増やすことが可能です。
例えば、総2階建てであれば丸々1層分を地下にできるので、「建築面積に対して敷地が小さくても良い」というのもメリットのひとつです。
高低差のある土地のデメリット
1階部分が地下車庫のため、RC造になるので、木造の車庫と比較すると工事費が高くなります。
地下車庫は構造・止水・耐久性の問題があり、木造で建てることが困難です。
地下車庫について
地下車庫のメリット
ビルトインになりやすいので、直射日光を避けられます。
愛車へのダメージを気になさる方にピッタリです。
また、車庫から直接玄関に行き来することができ、雨に濡れない動線も嬉しいポイントです。
地下なので、外気温にあまり左右されず、夏や冬でも一定の温度に保たれます。
そして、防音性・遮音性が高いのもメリットといえます。
地下車庫のデメリット
先ほどお伝えしたように、車庫部分はRC造になるため工事費が掛かります。
そして、設計段階で地下水の対策を考えることが重要です。
しっかりと対策を行わないと、カビ臭くなったりすることもあります。
地下車庫の費用
地下車庫は通常コンクリートの打ち放しなので、仕上げをする必要がありません。
そのため、地上部(木造で設備費を含む場合)と面積単価がそこまで変わらない場合もあります。
メンテナンス
特に大きなメンテナンスは必要ないですが、道路面から高い場合には、以下のメンテナンスが必要になります。
道路と土地が平らで地下を掘った場合、排水のポンプアップが必要になります。
また、地上部に表れている部分のメンテナンスも必要です。
解体
RC造は壊す時には木造よりも費用が掛かります。
しかし、地下の建造物は耐用年数が長く、地上部(木造部)を解体し、それを基に作り直すことが可能な場合もあります。
ボックスカルバートの地下車庫
建築物と連続ができないので、ボックスカルバートの上に土をもってその上に基礎を作ることになります。
そのため、ビルトインの地下車庫のように、駐車場から居住部分まで直接アプローチをすることができません。
建築費用としては、駐車場のみのスペースになりますので、そこに玄関とかプラスの部屋を作ることはできず、その分安くなります。
地下車庫のシャッター
手動と電動があります。
費用面で20万円~30万円程度、電動が高額になりますが、利便性・防犯面において優れているため、電動を希望なさる方が多いです。
地下車庫の構造
2階建ての木造だと4号特例という建築確認申請があり、構造計算書の提出が不要です。
しかし、地下車庫の場合には、1軒1軒のケースにあわせて構造計算が必要なので、手間・費用が掛かります。
地下車庫を作るポイント
ルーフが高い車を買いたい時には、道路と土地の高さによって地下車庫の高さが決まってしまうため、設計時にお伝えしましょう。
通常は2.3mを取ってあれば大丈夫ですが、ルーフが高い車では入らないことがあります。
車のサイズは重要です。
事例その1:鎌倉市 津西の家
土地の状況
西・南に道路がある角地を、古屋解体後の更地で購入しました。
擁壁があり階段を登ってアプローチをする土地で、擁壁で約2.6mの高低差がありました。
お施主さんからは、「車庫スペースが擁壁で確保できないので、車庫を作って欲しい」というご要望が。
そのため、擁壁を活かしてRC造で地下車庫を作り、上部は自然素材を活用し温もりを感じられる住まいにしました。
お住いになるご家族
ご夫婦・長男(入居時に小学1年生)・次男(入居時に2歳くらい)
間取り
B1 地下車庫・玄関
1階 リビングダイニング和室
2階 主寝室・ウオークインスルーの納戸・子供部屋
3階 子供部屋の横からあがれる屋根裏部屋(9畳)
子供部屋は移動する間仕切り家具で仕切って個室にすることができます。
面積
敷地:164.40㎡(49.7坪)
地下車庫以外に工夫した点
玄関がリビングと違うフロアにあると行き来が長くなるので、それ以外の部分で負担がないよう、家事動線はできるだけ、長くならないようにしています。
「キッチン・水回りを使いやすくすること」を心がけました。
南が全面開口のリビングなので日当たりが非常に良く、リビングダイニングで15.5畳の広さを確保しています。
南側に遮るものがないので、リビングからの眺望が良く、家族でゆっくりとくつろぐことができます。
事例2: 藤沢市 鵠沼4世帯住宅
土地の状況
こちらのお施主さんは、土地を購入する時にご相談いただきました。
駅から多少遠くても高低差のない整形地をお勧めしましたが、いびつな形・高低差を乗り越える立地条件と景色をお施主さんがとても気に入り、購入の運びに。
4世帯のボリュームを確保するために、厳しい斜線制限を受ける中「天空率」という手法を使用し、規制をクリアしました。
西側道路で、3方に住居があります。
高低差は約3mあったので、容積緩和を受けることができる総地階にしました。
天空率とは?
天空率とは、天空を魚眼レンズを使用して同心円状に見上げた時、建物を立体的に映した箇所をひいて、どれだけ空が見える割合が残っているかを示すものです。
斜線制限の規制を緩和する手法です。
間取り
B1 車が3台置ける駐車スペース、自転車置場とバイク置場
西住戸の玄関と物置・東住戸の浴室と納戸、予備室、ドライエリア
1階 各住戸のリビング・ダイニングにウッドデッキと西住戸の浴室
2階 西住戸の寝室と洋室2室・東十個の寝室と洋室、ウオークインクローゼットにスタディーコーナー
3階 各住戸のロフト
面積
敷地:189.85㎡(57.4坪)
家族構成
母・長男夫婦・子供2人・次男夫婦・義母
地下車庫以外に工夫した点
地下にはドライエリアを設置し、浴室・洗面室があるのでフロアを移動しないで洗濯物を干すことができます。
このドライエリアは隣地との境界ギリギリですが、隣家も三村先生が設計なさったお宅ということもあり、承諾をいただきました。
これにより採光と通風を確保するだけではなく、水回りのプライバシーにも配慮しています。
また、この土地からは江の島の花火が見えるので、ルーフバルコニーを確保し、家族や友人で楽しめるようにしました。
お施主さんからのご要望は必要最小限でしたが、ボリュームを確保しつつ動線を短くできるように配慮しています。
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