ミニマルな和のデザインのガレージハウス・人・建築設計所 高橋貴大さん
人・建築設計所のガレージハウスは、その居心地の良さから「気がついたらこの週末、一歩も外へ出てなかった」というお客さまもいるそうです
ガレージハウスについて人・建築設計所 高橋貴大さんに伺いました。
貴社がガレージハウスを手がけるようになったきっかけがありましたら教えて下さい。
普通のアパート暮らしをしていた私自身も、大型バイクに載っていて、防犯上の不安を常に感じていました。
大きな犬を飼いはじめたころ、やはりのびのびと遊べる家が欲しいなあと考えました。
土地が見つかり、いよいよ自宅を建てることになり、ガレージ付きの家にしました。
設計はもちろん自分自身です。
実際に使ってみて、ガレージは男の隠れ家というか、書斎の延長だと。
もっといえば、書斎に工房がくっ付いていて、すきなバイク弄りや、音楽、映画など趣味のことに没頭できる素晴らしい場所だとわかりました。
そんなときお客さまから、「釣りに出掛けるのに真夜中に出る。その仕度ができるガレージを」というご要望がありました。
農転して建てる土地でしたので22%以上の建蔽率が必要です。
しかし、予算はなく小さな家しか建てられない。
コストをかけずにガレージ部分と外側回廊をつくりました。
設計をつめていく段階で、これは使いやすいと自分自身も気づき、ガレージ付きの家のポテンシャルの高さに気づいたのです。
ガレージハウスのメリット・デメリットを教えて下さい。
メリットもデメリットも、一般的に思われているイメージのままだと思いますので、書き出しました。
ひとつ言えるのは、設計者の気づきによっては、とっても使いやすい家になります。
そして、将来性のある柔軟に変化できるスペースであることを意識するということが大切です。
メリット
・隠れ家 ・防犯性がある ・雨にぬれない ・クルマやバイクが汚れない ・収納力 ・暑さ寒さを気にしない ・時間を気にせず作業ができる ・作業中に放置しても問題ない ・雨のときの子どもの遊び場 など
デメリット
・コスト高 ・土地面積が必要 ・悪臭 ・すきま風 ・音 ・大開口と大架構の構造 ・出勤、帰宅時に気を遣う など
ガレージハウスで注意する点があれば教えて下さい。
ガレージ内については、換気と照明の計画です。
法的には、火器使用室として扱われてしまいますので、不燃材料で壁と天井をつくる必要があります。
ガレージドアについても、気密性能や断熱性能がどの程度か、すきま風対策などにも気を遣います。
また、作業するというのでしたら、エンジンをかけるかどうか。通常の換気の他に、エグゾーストパイプに取り付けられる排気機を利用します。
収納は作業内容、外物置の役割として考えたもの。床の素材は作業に応じて、汚れにくいものを選定する必要があります。
どれだけ滞在するか作業するかで、仕上げ材も内容もまったく変わります。
また住居部分との取り合いについても、気密性、断熱性、防音性など、きちんとした計画と施工が必要です。
ガレージは室内でも、熱的境界では外部として扱います。
そのため、設計としては、複雑な計算が必要となるのです。
構造的にも厳しい部分がありますので、構造計算もしっかりとできる設計者に依頼して下さい。
ガレージハウスの間取りで注意する点があれば教えて下さい。
クルマやバイクを美しく見せたいと考える場合は、ガレージとは別に、ショールームをつくった方がよろしいです。
綺麗に片付けることができる人は兼用できるかもしれませんが、もともとの機能が違います。
たとえば、ガレージを主に使う人が決まっていれば、その人の寝室を隣接することができますが、もしガレージを眺めたいとなると、ガレージは外との繋がりがありますから、今度は逆に寝室が丸見えということにもなりかねません。
生活感が出てしまうような、安易な解放は避けた方がよいでしょう。
また、周辺環境に馴染まないような建築は、周囲からの反感を買うこともあります。
一生そこで生活するのですから、ほどの良さということも安心な暮らしのひとつだと考えて下さい。
ガレージのせいで、居心地が悪くなったというのでは、本末転倒です。
ガレージハウスの間取りを掲載させていただければ幸いです。
「中条の家」の間取りです。西に振れた敷地に建っています。
そのため雁行して建物を配置して、南側面を増やすように計画しています。
これによりプライバシーを確保した庭をつくり、南面した外物干しと室内物干しを贅沢に持つことができました。
全体として、コンパクトにまとまりながらも緩やかに繋がり、収納力のある家造りとなっております。
↑中条の家
ガレージハウス「中条の家」は和風のガレージハウスですが工夫した点がありましたら教えて下さい。
ガレージハウスというとどうしても近代的なイメージですが、大人のデザインはなにかとミニマルな和のデザインを採用しました。
水平線の強調により、和のスタイルをつくり、低く軒を抑えることで、街道の建築の風情を与えました。
自動車のデザインも、低く幅広くすると、スポーツカーのイメージとなりますが、建築もまた鋭さが出てきます。
しかし、低いだけではのびやかさが出ませんので、敷地の奥になるほど高くなるような屋根をデザインしました。
徐々に高さを変えていきながら、たっぷりとした空間を作る。
これが「中条の家」ののびやかさ、穏やかさの秘密です。
ガレージハウスの価格は一般的な住宅に比べてどうなのでしょうか?
一般の建物にガレージ部分を追加するような考え方ですと、価格は高くなります。
住居部分に如何に無駄な面積をとらずに、計画できるかがカギです。
一般的な間取りでは、コストに合ってきません。
ガレージという設計要素も増えますので、設計がかなり重要なのだとも言えます。
土地探しから相談にのっていただけますか?
もちろん相談に乗ります。
一番良いのは、土地の候補がいくつか見つかった段階です。
お時間が合えば、一緒に見て回ることも可能です。
どんな土地が良いのか判らない場合は、条件などお聞きして、お探しすることもできます。
ガレージハウスの賃貸住宅なども設計していただけますか?
現在、企業さんとガレージ賃貸住宅の開発を行なっております。
他にないアイディアが入居者にとって魅力であり、競合がないので周辺環境をほとんど選びません。
また、永い間価値が下がらないよう考え抜かれています。
収益性重視というより継続性重視とも言えますが、空き室のない健全な賃貸住宅を実現します。
モニターを募集しておりますので、是非ともお問い合わせください。
ガレージハウスを建てたいと思っている方になにかアドバイスがありましたら教えて下さい。
予算が足りないからと言って、あきらめるのは早いです。
まずは希望の中にしっかり入れて下さい。
後から作ろうと思っても、土地が許してくれませんし、住宅ローンに入れ込んでしまいましょう。
100万円あたり月々3-4000円の返済です。
ガレージがあるかないかで、生活がまったく変わります。
とても素晴らしいスペースだと思いますので、夢を是非実現して下さい!
今度、雑誌掲載があると聞きましたが。
「中条の家」は好評で、実は4誌に掲載されています。
また、先日完成した「富塚町の家」は、2016年4月に発行される「ガレージのある家」に掲載が決定しました。
その他の雑誌でも、取り上げられることになるでしょう。
人・建築設計所 高橋貴大さんのガレージハウス・設計事例
画像 | 建物の名称 | 紹介文 |
---|---|---|
中条の家 #ガレージのある家掲載 | 「中条の家」は、ガレージハウスのイメージを打ち壊すように、穏やかな和のテイストで、大人の上質空間を目差しました。グッと軒先を抑えた屋根は、周辺環境となじみ、柔らかです。ポーチの型ガラスの飾り棚ディスプレイが家族をお出迎え。玄関脇の和室もまたオモテナシのこころ。帰宅するのが嬉しくなります。 | |
富塚町の家 #ガレージのある家掲載 | 外観内観は、やさしく強くというデザイン。 | |
新子安の家 | 昭和50年代の住宅をフルリノベーション。 古い間取りを、現代的で使い勝手の良い間取りに一新。 | |
TinyHouse15 concept | 基本プランは約15坪で、住宅ローンやローン控除に対応します。工夫された設計で、2〜4人暮らしが実現しながら、リッチな居住空間を実現。さらにオプションで、ガレージや屋外リビング、追加の寝室など、さまざまな展開ができるのも、特徴の一つです。 | |
KEN OKUYAMAブランドセンター | 元々所有していた事務所の隣に敷地が出たので、新築で事務所を建設したもの。カーデザインの工程が見えるショールムというコンセプトで1〜3階ガラス張り+屋上というプランで進めた。1〜2階と車を上げる片持ちリフトが、その存在感を感じさせるものとなった。 |
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