住宅密集地に中庭のある家


 
住宅密集地の場合、日当たりが悪い、隣家や道路からの視線や音に注意が必要などのデメリットがあります。
五藤久佳デザインオフィス有限会社の五藤久佳さんが設計した、正明寺の家~中庭のある家~では、中庭を設けることで、そのようなデメリットをうまく克服した事例です。

お話を伺った建築家

 

ユーザー 五藤久佳デザインオフィス有限会社 五藤久佳 の写真
愛知県一宮市木曽川町里小牧字西蒲原216番地
0586-87-2669

住宅密集地の土地の問題点

 
住宅密集地では多くの場合、隣家からの視線(道路の面している場合は道路からも)が気になる、日当たりが悪い、話し声や生活音が聞こえ易いなどの問題点が挙げられます。
しかし、これらのデメリットも建築家によるプロの発想と工夫があれば、うまく乗り越えることができる、むしろデメリットに着目することで新たなメリット・価値を生み出すこともできるのです。
 
今回の正明寺の家では、道路に面した住宅密集地であることに加え、限られた土地の中で、家族それぞれの個室を作りつつ、できれば3階建てでなく2階建にしたいとの希望でした。
 
家族構成は、母・夫妻・娘(社会人)・息子(大学生)。それぞれの個室とリビングダイニング、仏間、客間が必要であり、亡くなった父の「母に早く家を建ててやってほしい」との遺言もあったため、母の部屋と仏間を、家の中の1番よい場所にして欲しいとの希望もありました。
 
そこで、デメリットを解消しつつ、ご家族それぞれの要望を叶えるために取り入れたのが「中庭」です。
 

中庭のメリット

中庭を取り入れることで、下記のようなメリットがあります。

  • リビングダイニングを北側一番奥にすることで、中庭で空間をとることにより、車の走行音など外からの音が少ない、落ち着いて過ごすことができる空間を作ります。
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  • リビングダイニングと仏間ともに、中庭に面した窓は大きな窓でしっかりと光を取り込みますが、廊下部分は腰下部分のみを窓とし、光をコントロールして、家族の気配を感じながらも、「見えすぎない」「視線が気にならない」設計にしています。
    また、中庭からの採光は斜めの直射がカットされるため、夏場でも日差しが強すぎることなく、快適に過ごしていただけます。
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  • 家の中心に中庭を配置、手前(玄関&道路側)を母の個室と仏間、奥をリビングダイニングとしたことにより、お互いの気配を感じられながらも、近づきすぎず遠すぎずのちょうどよい距離感を実現しました。
    中庭が「緩衝材」のような役目を果たしてくれていると言えるでしょう。

中庭のデメリット

しかしながら、下記のようなデメリットもあります。これをできるだけマイナスに感じることのないようにするのも、建築家の役目だと考えます。
 

  • 外壁と建物で囲まれており、斜めから差し込む直射はカットされるため、採光の量は多くありません。
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  • 居室の中から中庭がいつも見えるので、美しい状態を保つためのお手入れが必要です。そのため、あまり光がなくても育ちやすく、丈夫で育てやすい樹木をセレクトし、お手入れの手間が軽減できるよう工夫しています。
    また、外壁にアルミ格子を採用し、風の通り道を作ることで、植栽の育成と風通しの悪さをクリアしました。

 

住宅密集地に立つ住宅の実例

正明寺の家 ~中庭のある家~


 

敷地の特徴

土地の形状は細長く、土地の南側に道路があり、北側は2階建のアパートが建っています。西・東側ともに隣家があり、特に西側の隣家との境はフェンスを立て、隣家からの視線を遮りたいとの希望がありました。
南側には日光がしっかりと届くため、冬でも日中はあたたかく過ごせるとのこと。

全ての部屋の日当たりを考慮した設計

家族5人それぞれに個室を用意、広さよりも(一部屋の広さは6帖ほどでよい)日当たりを重視してほしいとのご要望でした。
こちらも、中庭部分を吹き抜けにすることで、全ての個室および客間に窓を設置。自然に光を取り入れることができます。
客間、愛犬のレトリバーがすごすテラス、トイレ、洗面へと続く北側奥の廊下には、トップライトを設置し、明るさを補えるようにしました。
正明寺の家・1階平面図
↑1階平面図
 
正明寺の家・2階平面図
↑2階平面図
 
正明寺の家・断面図
↑3階平面図
 

ルーバーを採用し、閉塞感なく視線を遮る

日当たりを考慮し、また夫婦それぞれの個室と納戸から出入りできるように、2階南側にベランダを設置しました。
夫婦それぞれの個室への採光はもちろん、洗濯物がしっかりと乾くように、日光と風が心地よく通る空間を保ちつつも、道路や隣家からの視線を遮るために、ルーバーを採用しました。
これにより、外から開口部が気にならなくなります。洗濯物なども外からの視線を気にすることなく干せるよう配慮した工夫です。

住宅密集地ならではの閉塞感をなくすため、隣家の壁を利用

敷地の3方向に隣家がある住宅密集地では、どうしても閉塞感が出てしまいます。
狭い土地(今回の場合53坪)であっても、できるだけきゅうくつに感じることなく過ごせるようにするにはどうしたらいいか?
これは住宅密集地ならではの課題でしょう。
 
また、今回の場合、特に西側の隣家との境界線をはっきりとさせたい・視線を遮りたいとのご要望がありましたが、東西の隣家との間に、あえて「壁」は作りませんでした。
そのため、まず、隣家からの視線や音が気にならないようにするため、建物の東西側には大きな窓を作らず、建物自体の壁面と、隣家の壁を活用することにしました。
まさに、中庭&吹き抜けからの採光がじゅうぶんのあるからこそのプランかもしれません。
 

優先順位を明らかにすることで、理想の家に近づきます

今回の住宅の場合、当初、家族5人それぞれの個室を作るとなると2階建では難しいのではないか?とのご相談がありました。
生活動線や予算のことを考えると2階建にしたい、でもそれぞれに日当たりのよい部屋が欲しい。
 
この要望を叶えるために、2階に配置した夫婦・子どもたちの個室は6~8帖ほどの細長い部屋となりました。
部屋に横幅がないので、大型テレビを置くことはできませんが、テレビはリビングで観るということにしていただきました。
このように優先順位をクリアにすることで、ご要望が叶えられたのです。

また、建築家はいろいろな条件・問題を抱える土地に合わせた住宅を日々設計しています。
そのため、ご家族だけでは思いつかないような解決策を持っています。
どんな家が建てたいのか?優先順位を明らかにすることは、理想の家に近づく一歩です。
ぜひ、専門家にご相談ください。
 

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