住宅密集地の通風・採光を坪庭で確保
住宅密集地の場合、日当たり・通風が確保できなかったり、隣家からの視線に注意が必要です。
そこで、横山武志建築設計事務所 横山武志さんの設計した、ニワノイエ・九曜舎をご紹介します。
ニワノイエは5つの坪庭を作ることで住宅密集地の問題を解決した事例、九曜舎は和風の坪庭を2階に作った事例です。
坪庭について
坪庭の費用
坪庭は、一般的には、1階に作ることが多いですが、2階にも作ることは可能です。
ただし 2階の場合、バルコニーと同様防水工事を行う必要がありますので、その分、別途費用が掛かります。
樹木、造作等、和風に仕上げると、しっかりとした職人に依頼した場合、200~300万円程度の費用は見ておいたほうが良いです。
もちろんDIYでやる方法もあり、その分安く作ることは可能です。
例えば、木を植える場合でもトータル数万円の場合もあります。
樹木の選定は、日照条件や成長後の枝振りにも気を使う必要があり、よく相談する必要があります。
もちろん2階にも置けますが、植木鉢を置く以外にも直接土を入れるケースもありますが、その場合、耐根仕様の防水方法と重さも計画段階から検討する必要があります。
ウッドデッキもセランガンバツ等の南洋材のデッキ材、檜材や人工木材もあり、使い方やメンテナンスの考え方等十分考慮する必要があります。
和風庭園
和風の坪庭は、本格的な庭を希望するのであれば、専門の庭師の方に依頼したほうが良いでしょう。
石の選定、置き方、手水鉢や灯籠等には決まりごとが多く、専門的な知識が必要です。
手水鉢などを設置する場合には、水道が必要となります。
もちろん排水の整備が必要です。
苔を張ったり、樹木を植えたり、土を入れる場合は植木鉢に植えるか、土を直接引く場合は、耐根仕様の防水をする必要があります。
和風庭園で、敷石や灯籠も欠かせないアイテムですが、それ自体かなりの重さもありますので、上階に坪庭を設置する場合は、計画段階からその重量を加味して構造計算する必要があります。
事例の九曜舎では、耐根仕様の防水施工を行い、土壌や灯籠、石の重量も考慮し、構造もその計画当初から、その重量も加味して設計しています。
京都の町家の坪庭等、小さいながらも美しい庭園はありますが、専門の庭師と話をしながら、作り上げていくのが良いと思います。
また玄関のアプローチを庭園化する方法もあります。
洋風の坪庭
洋風の庭というと、床の仕上げをタイルやデッキにするのは一つの方法です。
連続する室内と一緒にタイルで仕上げたり、フローリングと似たような色合いのデッキ材にしたり、一体的に見える工夫も出来ます。
タイルは、一般的には下地をコンクリートにする必要があります。
タイル以外にも平石や煉瓦、木タイルも良く使用されますし、芝を敷く方法もあります。
坪庭と花
樹木を植えたり、草木を植えたりできるような花壇を作ることもあります。
季節の草花を植え替え、一年中花を楽しむ庭も出来ます。
窓から見える位置に花壇を造ったり、デッキやベンチを設ける等眺めるスペースも考えると、より花を楽しめる庭になります。
坪庭のリフォーム
すでにある坪庭をリフォームして作り直すのは可能ですが、資材の搬出搬入経路の有無に注意が必要です。
大きな石や灯籠等の大きなものや土を入れ替えたりする場合、十分な搬入経路を確保する必要があります。
1階であれば、建物の外周から、スペースがない場合は、室内を通る場合もあります。
2階であれば、クレーンで釣り上げる場合もあります。
新築の場合も事前に搬入したりする場合もありますのでご注意ください。
坪庭のメリット・デメリット
坪庭のメリット
坪庭を作ることによって通風と採光を確保し、坪庭を部屋が囲む配置になるので視線が広がるというメリットがあります。
更に、花や植栽の紅葉により、四季を感じられる庭になります。
またデッキを敷けば部屋と一体で使うことも可能です。
坪庭に面する壁を明るくすると、太陽光の反射により、室内も明るくなる場合もあります。
坪庭のデメリット
坪庭のデメリットとしては、植栽があれば水やり他メンテナンスが必要になります。
また剪定等も必要になり、場合によっては庭師に依頼することも必要です。
坪庭を作る場合、敷地に余裕が必要です。
坪庭ありきで新築をする場合、最初から設計者に希望を話し、しっかりとした計画の作成が必要です。
ニワノイエ
土地について
東京都練馬区、行き止まり道路の一番奥。
敷地北側に道路が面し、東面、南面、西面は隣地の住棟間隔も狭く、住宅密集地のど真ん中にあります。
敷地が東西に長細く、南側に庭を取ると、あまり太陽の光の届かない庭になる恐れがありました。
そこで、建物を凹凸の襞を作り、坪庭を幾つも作るレイアウトになりました。
間取り
1階 駐車場と陶芸のアトリエ、2つの寝室。
2階LDKと寝室、水廻り 1階のトイレは、アトリエでの教室利用を考え、共用だがプライベート空間に干渉しないようなレイアウトに配慮しました。
LDKと寝室では、LDKの採光を重視し、陽当たりの良い2階にしています。
一方寝室は、幅3mのクローゼットを備え、狭いながらも収納を充実させ、2方向に窓を設け、2つの坪庭に挟まれる形式にしています。
2方向に視線が抜けるため、狭さを感じさせない作りになっています。
坪庭からは、採光と通風を確保しており、建物全体への環境装置として坪庭を位置づけています。
坪庭には5つあり、建物は凸凹形状で、建物と坪庭を一体化させるレイアウトとなっています。
坪庭を作ることによって住宅密集地でも通風と採光を確保した家を実現することができました。
2階のLDKは、リビング、ダイニング、キッチンを一列に並べて、見通し13.5mの長細い部屋となっています。
南北の大きな窓からは、太陽光が入り、南面のバルコニーと一体的な空間となっています。
2Fのバスルームは、トイレ・洗面と一体になるようにハーフバスルーム上部にFIXガラスを採用し、窮屈な浴室にはならないようにしています。
またバスルームの奥にサービスバルコニーを設け、洗濯後すぐ洗濯物を干せるようにしています。
2つのバルコニーがあり、それぞれ使い分けが出来るようにしています。
九曜舎
土地の状況
東京都新宿区。
南側が道路に面しており、他は住宅に囲まれている住宅密集地です。
お住いになる家族について
郊外に住宅があり、平日東京の勤務地に通う2拠点居住の東京都心の家になります。
間取り
1階は趣味の音楽スタジオと水廻り。
2階 キッチンと畳のあがり間と坪庭。
3階は寝室とロフト。「和風の住宅と坪庭を作りたい」というご要望と、「音楽スタジオを作りたい」というご要望がありました。
スタジオは、来客と防音を考慮し1階にして、 1階の構造を鉄筋コンクリートとして、2重壁で完全防音にしました。
2階の坪庭は壁を3階まで立ち上げ、周囲と閉ざされていますが、上部は開け、町家の坪庭のようにしています。
坪庭は本格的な使用にし、ランドスケープデザイナーに協力を求め、施工も和風庭園を専門に施工している庭師に依頼しています。
石灯籠、手水鉢、敷石、飛び石を配置し、庭を眺める月見台を竹簾敷としています。
雪見障子を通じて、室内から坪庭を楽しむことができるように工夫しています。
横山さんは一級建築士以外にも宅地建物取引士でもあり、土地探し等不動産の物件探しもしているとのことです。
そのため、土地選びも建物を前提としたビジョンでアドバイスをすることが可能です。
建築家に依頼して家を建てるのは、お施主さんの手間もかかりますが、「家ができるまでの過程を楽しむように、手間暇も含めて楽しんで頂きたい」と仰っていました。
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