民泊が禁止されたらどうする?元民泊物件の転用・活用方法|建築家に無料相談

「せっかく民泊用に整えた物件なのに、もう営業できなくなるかもしれない」
そんな不安を抱えている方が、今、増えています。
2026年9月8日、新宿区は住居系用途地域や文教地区などで住宅宿泊事業(いわゆる民泊)の新設を原則禁止する条例改正の方針を発表しました。既存の民泊施設についても、施行後2年間の経過措置を経て同じ規制が適用される見込みです。商業系用途地域でも、年間営業日数が現在の180日から120日に短縮される方針です。
新宿区によると、区内で約2,000件の既存民泊が営業できなくなる可能性があります。
こうした流れは新宿区だけの話ではありません。全国の自治体で民泊への規制強化が進んでおり、「うちの物件も、いつか同じことになるのでは」と感じている所有者の方も多いはずです。
ただし、ここで慌てて「とりあえず普通の賃貸に戻そう」と決めてしまうのは早計かもしれません。なぜなら、民泊時代の収益を知っているからこそ、ただ賃貸に戻すだけでは「思ったより貸せない」「収益が大きく下がった」と感じるケースが多いからです。
実は、元民泊物件には、普通の賃貸に戻す以外にも複数の活用方法があります。建物の条件によっては、シェアハウス・SOHO・店舗・福祉施設など、普通の賃貸とは異なる使い方に転用できる可能性もあります。
相談は完全無料、しつこい営業も一切ありません。まずは「自分の物件に何ができそうか」を知るところから始めてみてください。
新宿区の民泊規制強化とは

新宿区は2026年9月8日、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊について、条例を改正して規制を強化する方針を公式に発表しました。
主なポイントは次の3つです。
- 住居系用途地域・文教地区などでは住宅宿泊事業の新設を原則禁止にする
- 既存の民泊施設にも、施行後2年間の経過措置を経て同じ規制を適用する方針
- 商業系用途地域でも、年間営業日数を現在の180日から120日に制限する方針
背景には、新宿区内での民泊の急増があります。2025年度末時点で、区内の届出住宅は3,749施設。届出住宅に関する苦情も2025年度は924件にのぼり、ごみ出しのルール違反や騒音、たばこなどが主な内容です。
新宿区によると、今回の規制強化によって約2,000件の既存民泊が営業を続けられなくなる可能性があります。区は2026年10月ごろに意見公募(パブリックコメント)を行い、2027年2月の区議会定例会に条例改正案を提出、2027年6月の施行を目指す見通しです(条例成立前のため、時期は変更される可能性があります)。
新宿区は民泊物件数が23区内でもトップクラスの地域ですが、同様の規制強化の動きは他の自治体にも広がる可能性があります。「今は大丈夫」という物件も、数年後には同じ状況になるかもしれません。
民泊は建築基準法上「住宅系の用途」──だから活用の選択肢は広い
元民泊物件の活用を考えるうえで、まず押さえておきたい重要なポイントがあります。それは、民泊の種類によって、建物の「建築基準法上の扱い」が異なるということです。
| 民泊の方式 | 建築基準法上の扱い |
|---|---|
| 住宅宿泊事業法(民泊新法)による民泊 | 住宅・長屋・共同住宅・寄宿舎のいずれか |
| 旅館業法の許可を取った民泊(簡易宿所など) | 原則としてホテル・旅館 |
| 特区民泊 | 別途特例あり |
新宿区の規制強化で対象になっているのは、住宅宿泊事業法(民泊新法)による民泊です。国土交通省の資料では、この届出住宅は建築基準法上「住宅」「長屋」「共同住宅」「寄宿舎」のいずれかの住宅系用途として扱われるとされています。つまり、民泊を始めるときに「住宅系用途→ホテル・旅館」への用途変更を行っていない物件がほとんどということです。
これは元民泊物件の所有者にとって、実はグッドニュースです。住宅宿泊事業による民泊が禁止されても、建物自体が建築基準法上「使えない建物」になるわけではありません。もともと住宅系の用途なのですから、同じ住宅系用途(普通の住宅・賃貸住宅など)として使うのであれば、基本的に用途変更の手続きは不要です。
一方で、そこから「店舗にする」「事務所にする」「福祉施設にする」など、住宅系以外の用途に変える場合は、建築基準法上の用途が変わる可能性があり、ここで初めて専門家(建築家)の出番が出てきます。
高付加価値賃貸 など
福祉施設 など
住宅系以外の用途に変える場合ほど、建築家に相談する価値が高くなります。
※シェアハウス(寄宿舎)は、元の建物がすでに寄宿舎として扱われている場合は用途変更不要、住宅・長屋・共同住宅だった場合は寄宿舎への用途変更が必要です。
元民泊物件の活用方法7選
元民泊物件の活用方法を、「建築家に相談する必要度」「法的なハードル」「元民泊物件との相性」の3つの観点で比較しました。
| 活用方法 | 建築家の必要度 | 法的ハードル | 元民泊との相性 |
|---|---|---|---|
| ①普通賃貸住宅・中長期マンスリー賃貸 | ★ | 低 | ◎ |
| ②高付加価値賃貸(デザイナーズ改修) | ★★★ | 低〜中 | ◎ |
| ③シェアハウス | ★★★★ | 中〜高 | ○ |
| ④SOHO・事務所 | ★★★ | 中 | ○ |
| ⑤店舗・飲食店 | ★★★★★ | 高 | △ |
| ⑥グループホームなど福祉用途 | ★★★★★ | 高 | ○ |
| ⑦一棟を複数の賃貸住戸に改修 | ★★★★★ | 高 | ○ |
①普通賃貸住宅・中長期マンスリー賃貸
最も手軽な選択肢です。家具・家電付きのまま、転勤者や単身赴任者、学生などに貸し出す方法です。ただし、マンションの場合は管理規約が「短期賃貸」まで禁止していないか、事前の確認が必要です。
②高付加価値賃貸(デザイナーズ改修)
普通の賃貸に戻すだけなら建築家は必要ありませんが、「民泊時代の収益に近づけたいので、普通の賃貸より高く貸せる住宅にしたい」となると話が変わります。家具付き、在宅勤務スペース、収納改善、ホテルライクな内装など、建築家によるリノベーションで賃料を上げるという方向です。住宅→住宅の転用なので用途変更の問題も比較的小さく、元民泊物件の活用の中でも検討しやすい選択肢のひとつといえます。
③シェアハウス
民泊で複数の寝室をすでに設けている戸建てなどであれば、個室はそのまま居室に、リビングは共用スペースに、キッチンは共用キッチンに、という構成をそのまま活かせる可能性があります。なお、建築基準法上すでに「寄宿舎」として扱われている物件であれば、シェアハウスへの転用は用途変更にあたらない場合があります。一方、「住宅」「長屋」「共同住宅」として扱われている物件をシェアハウスにする場合は、国土交通省の資料でも「寄宿舎」への用途変更が必要になるとされており、建築基準法や消防法への対応が必要になる場合があるため、建築士などへの相談をおすすめします。
④SOHO・事務所
立地によっては有力な選択肢です。ただし、用途地域だけでなく、マンションの場合は管理規約で事務所利用が禁止されていないかの確認も必要です。「住宅兼事務所」にするのか「完全な事務所」にするのかによっても扱いが変わります。
⑤店舗・飲食店
建築家への相談案件になりやすい反面、物件を選ぶ活用方法です。住宅から飲食店などの特殊建築物に用途変更する場合、防火・避難などの規定への適合が必要になります。特殊建築物の用途に供する部分の床面積が200㎡を超える場合は、用途変更の確認申請も必要です。確認申請が不要な規模であっても、建築基準法への適合が不要になるわけではない点に注意が必要です。
⑥グループホームなど福祉用途
戸建てなどではグループホーム等への転用も候補になります。建物の規模や間取りによって「寄宿舎」「共同住宅」「児童福祉施設等」などとして扱われることがあり、用途変更によって新たな規定が適用される可能性があります。消防設備の対応も絡むため、計画段階から特定行政庁や確認検査機関、建築家への事前相談が重要です。
⑦一棟を複数の賃貸住戸に改修
一棟の戸建て民泊などであれば、1棟で貸すよりも、1階・2階・3階をそれぞれ独立した住戸に分けることで、収益物件として成立する可能性があります。ただし、共同住宅化するには、避難・採光・換気・界壁・設備・接道など、さまざまな法的検討が必要です。その分、「民泊ができなくなった一棟物件を収益物件として再生したい」というニーズには非常によく合う選択肢です。
どの活用方法が向いているかは、建築家に相談を
ここまで見てきたとおり、元民泊物件の活用方法は一つではありません。
しかし、どの活用方法が実際に選べるかは、
・用途地域
・建物の規模・構造
・既存建物の適法性
・管理規約(マンションの場合)
・消防設備の状況
など、物件ごとの条件によって大きく変わります。同じ「戸建ての元民泊」でも、立地や建物の状態次第で、選べる選択肢はまったく異なります。
特に、シェアハウス・店舗・福祉施設への転用や、複数戸への改修を検討する場合は、法的な確認事項が多く、自己判断で進めるとあとから手戻りが発生するリスクがあります。
「普通に貸すだけでは収益が合わないので、別の使い方をしたい」──そう感じたら、まずは建物の現地を確認できる建築家に相談することをおすすめします。
まとめ
新宿区の民泊規制強化をきっかけに、「元民泊物件をどう活用するか」という悩みを抱える所有者は、今後さらに増えていくと考えられます。
住宅宿泊事業法による民泊は建築基準法上「住宅」「長屋」「共同住宅」「寄宿舎」のいずれかの住宅系用途として扱われるため、同じ住宅系用途に戻すこと自体は難しくありません。しかし、それでは民泊時代より収益が下がる可能性もあります。
・高付加価値賃貸への改修
・シェアハウス
・SOHO・事務所
・店舗・飲食店
・グループホームなどの福祉用途
・複数戸への改修
など、建物の条件次第でさまざまな活用方法が考えられます。どの方法が自分の物件に向いているか分からないという方は、建築家紹介センターの登録建築家に、まずは無料で相談してみませんか。
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